表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Daily  作者: 斎藤一樹
16/31

第四話 その2


 第三試合は部長と天宮。普通に部長が勝った。…というか、天宮が弱すぎた。

 第四試合は暦先輩と猫島。暦先輩の勝利。

 第五試合は、優さんと部長。優さんの面打ちが綺麗に決まり、優さんの勝利。

 それから更に3試合を経て、

「第九試合、鈴木竜也VS美影優!」

 とうとう優さんと戦うことになった。

「始めっ!」

 部長の合図が響く。

 暫くは、お互いに殆ど動かない。ただ、視線と竹刀の細かな動きで互いに牽制し合う。そして数秒後、

「いくわよっ!」

 と言いつつ、優さんが竹刀を大上段に振りかぶりつつ突撃してきた。そしてそこからの袈裟斬り。半身になって僕はそれを躱す。

 かなり速い。でも、勝てないほどじゃあ無い!

 続いて、返す刀で繰り出される横薙ぎの一撃を、バックステップで躱す。

 恐らく、彼女の強みはスピード。女子だし、見た目からして力が特別強そうにも見えない。

 なら。

 避けるんじゃなくて捌いて受けていけばいい。

 上段からの斬撃(竹刀だから打撃か?)を、僕は竹刀を当てて軌道を斜め下にそらす。そしてがら空きになっている顔面に竹刀を振り下ろす。しかし、その竹刀は優さんの持つ竹刀で弾かれる。優さんは、下へと受け流された竹刀の、返す刀で僕の竹刀を弾いたのだ。

「…へえ……」

 これは、意外と余裕ぶってもいられないかもしれない。

 何げに力は強いのかもしれなかった。それとも遠心力とかの応用なのかもしれない。

 油断大敵、と言ったところか。 さて。

「反撃、開始といこうか」

 僕はニヤリと嗤って、そう嘯いた。

 腰を落とし、左足を軽く前に出して、竹刀を右腰で下段に構える。右手で柄を握り、左手は手の平を柄頭に添える様にする。

 気合い一閃、優さんは上段からの一撃を繰り出す。僕はそれを、後ろ足である右足を左足の一直線上にそろえて半身になることで躱す。

 優さんの一撃は空を斬る。

 ガードが開いたその胴に、僕は横薙の一撃を放つ。

 優さんは後ろへと躱す。

 そこに僕は更に踏み込んで、上段からの一撃を牽制として放つ。

 それを躱すべく、更に大きく後ろに下がる優さん。

 …狙い通り。僕が待っていたのは、ここで生じる隙。

 今までは、ほとんど至近距離での連撃だったので、僕がいくら避けようとも優さんは追撃してくる事が出来た。しかし。

 優さんが自分から下がったのなら、最短でも着地してからしか近付かれることはない。更に、着地の瞬間には大分隙が出来易い。

 僕は優さんが着地する瞬間、優さんに竹刀を投擲した。

 辛うじてそれを弾く優さん。しかし、それも予定通り。

 僕は竹刀を投擲すると同時に、優さんにむかってダッシュ。

 何とか体勢を立て直した優さんは、僕に向かって竹刀を横薙ぎに振るう。

 僕はそれを、走っている事により生じた運動エネルギーを殺さぬよう、前転で躱し、優さんの懐に潜り込んだところで立ち上がり、「失礼します、優さん」

 トン、と腹部に優しく掌底を放つ。ドン、と叩くようにするのではなく、グッと優しく押すような形で。

 押されてよろめく優さん。

 更に踏み込み、手刀で優さんが持っている竹刀を弾き飛ばす。

 間髪入れず、続けて足払いを掛けて、優さんを床へ押し倒す。足払いを掛けると同時に優さんの手を掴み、強く床に体を打ち付けないよう支えることも忘れない。

 床へと倒れた優さんの首筋に、僕は手刀を突き付けて、僕は言う。

「チェックメイトです、優さん」

「こ、降参よ、竜君…」

 決着。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ