第三話 その3
「と、いう事で、僕はもう行くから」
「じゃああたしもついて行きますっ!」
そういやこいつ、見学に来たハズなんだよなぁ…。
しかしこいつも微妙な時期に来たもんだ。今は4月末。部活体験・部活見学は既に終わっている。
後ろで暢気に鼻歌を歌っている猫島を尻目に、僕は部室のドアを開ける。
「あら、遅かったわね、竜也」
早速部長が声を掛けてくる。
「ちょっと先生に呼び止められまして」
そう答えつつ、手で廊下にいる猫島に合図を送り、部室の中に招き入れる。
「ところでどうしたの、その娘?」
怪訝そうに部長が言う。
「入部希望者だそうですよ?」
「小学生が?」
「高一だそうで」
「……………」
「ぶ、部長さん!あたしのことを哀れむような眼差しで見ないでくださいっ!」
「(ポンポン)」
「ドンマイ、的な感じであたしの肩を叩かないでくださいっ!!」
部長が僕の方に向き直って言う。
「そういえば竜、一つ質問があるのだけれど」
「あたしのことスルーですか!?」
ショックを受けた感じの猫島は当然のように無視して、僕は話を続ける。
「何ですか?」
「竜って剣、使える?」
「はい?……まあ、一応は」
突然何を。
「私たちが次にやる台本のテストよ。剣を上手に振るえることが主人公に必要な条件なのよ。当然竜にもやってもらうから覚悟しておきなさい」
「……了解です」「そういえば、あなたの名前は?私は演劇部部長の相沢華。御覧のとおりの演劇少女よ」
「無理矢理、某文学少女風にしなくていいですから!」
「じゃあ……」
そして軽く溜めてから言った。
「三年二組、相沢華。ただの人間には興味ありませんこの中に……もがっ!?」
「さすがにそのネタは古いですし色々とアウトです!」
「いきなり何すんのよ!
まあいいわ、そんな事よりあなたの名前は?」
「一年の猫島美玖と言いますっ!よろしくお願いしますっ!」
その後、猫島は演劇部へと入部することが決定した。今日は金曜なので、猫島が正式に演劇部に入部するのは次回の練習日である月曜日の事となる。
第三話・了
すみません、一日間が空いてしまいました……。
ヘンティカンヘンタイ!(挨拶)、斎藤一樹です。「ヘンティカンヘンタイ」について知りたい方は、「変態王子と笑わない猫」第一巻の後書きをご覧下さい。
さて、今回の後半部分は元原稿からアレンジを加えられたものです。というか、ごっそり削り取られてます。その削り取られたものに大幅な加筆修正を加えたものが次話となる予定です。
次回は、恐らく「演劇部内・最強決定戦」みたいなノリになると思われます。
…予定通り進めば。