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第23話 枠外

「じゃあ早速魔王の話をするぞ──」


 ワルドは重々しい雰囲気を出し話を始めようとする。


 言うほど早速だとは思わないがそれを口に出すのはやめておこう。


「魔王が最後に人類の前に現れたのは300年前。王都を襲撃し王都は大きな被害を受けた。壊滅寸前のところまで追い詰められたが当時の騎士団がなんとか魔王を追い払ったとされている。その後の王都再建時になにやらごたごたとあったようだが詳細は知らん。なんせ300年前の話だ」


 最後に現れたのが300年前……


「……魔王は現在動いていないのか?」


「少なくともおらぁ魔王が直接動いたって話は聞いたことがないな。まあ魔王の手下を名乗る魔族がちょくちょく人類おれたちにちょっかいかけてくるから今も生きてるんだろうが。一体何が目的なんだか……まったく迷惑な話だぜ」


 そう話しながらワルドはポケットに手を突っ込むとタバコを取り出す。しかし口に咥える直前でその動きが止まる。


「おっと、子供の前でするもんじゃねえな」


 ワルドはホロスを見るとタバコを再びポケットの中へと戻した。


「別にかまわないわよ」


「俺がかまうんだよ。俺ぁそういうのはわきまえてるタイプのおっさんだからな」


 ワルドは決め顔でそう言った。


「……っと、まあ俺が知ってるのはそんくらいだな。なんでお前らがそこまで魔王に固執してるのかは気になるが聞かねぇでおいてやるよ」


 その気遣いには感謝する。……だが思ってたより……


「あ! おいエインお前いま『コイツ大した情報持ってねぇじゃねーか使えねー。こんなギルド今すぐ抜けてやる』って思っただろ」


「そこまでは思ってないが……」


「多少は思ったってことだな!? ったくしゃーねえな。今からギルドに入ったことによる受けられる恩恵を2つ教えてやる」


 ワルドは指を1つ立てた。


「1つ目! ギルドが所蔵している文献が読める! 王都にある本部ギルドに行けば魔王に関する文献もあるだろうよ」


 なるほど文献、本か。それだったら今よりも詳しい情報が得られそうだ。


「そして2つ目! お前らにとってはこっちのほうが大事なことだ」


 魔王の文献よりも大事なこと? そんなものがあるのか?


「それは……」


「それは?」


かねが稼げる!!」


 あー……


かね…か」


「なんだその反応! エイン、ホロス! お前ら故郷滅んで放り出されたんだろ!? だったらいるだろ金! それだというのにお前らときたら魔王魔王と不健全極まりない。若いんだから稼いで金使ってちゃんと遊べ!」


 正直今の今まで金の存在を忘れていた。そりゃあいるよな金は。千年間異空間で暮らした弊害がこんな形で出るとは。


「2万ギルくらいなら持ってるわよ」


 そういえばホロスが俺の荷物を預かっている中に食料の他に金もあったか。


「かーっ! 2まん~? それで何日暮らせると思ってるんだ」


「さ…さぁわからないわ…」


 俺もわからん。これに関しては千年とか関係なく田舎暮らしの弊害だな。


「リヒト~、お前こんな世間知らずな奴ら二人どこで拾ってきたんだよ」


「そこらへんッス」


 そこらへんにいたのは事実だが言い方ってものがあるだろう。


「まあいい、とりあえず明日またギルドに顔出せ。適当なクエスト見繕ってやるからよ。んじゃ、俺はこれから仕事だからこれくらいで失礼するぜ」


 そう言い残しワルドは去っていった。


「実際2万だとどれくらい暮らせるんだリヒト」


「たしか宿借りるんスよね? それで二人だと……3日、頑張れば4日? ……いやちょっと待ってください。そもそも宿代くらいオレが代わりに出しますよ!」


「なんかそれはリヒトに養われてる感あって嫌かも」


「なんスかそれ!?」


「たしかに」


「ホロスさんまで!?」


 まあ金なら明日から稼げばいいし問題ないだろ。


◇ ◇ ◇ ◇


 エインたちのもとを離れたワルドは仕事部屋への移動を開始する。しかしその道中に一人の青年が──


「なんだフェルド、サボって盗み聞きでもしてたのか」


 そこにいたのは一等魔法師フェルド。フェルドは壁にもたりかかりながら口を開く。


「いやー気になっちゃって、エイン君とホロスちゃんの指輪が何色になるかさ」


「……お前はなると思ったのかくろに」


「まぁね。二人とも僕じゃ計り知れないものがあったからさ『枠外ブラック』になるのも十分あり得ると思ったんだよね。まあエイン君の透明もある意味枠外(わくがい)ではあるけど」


 魔法師ギルドの等級は一から五。数字が若ければ若いほど強く実績を兼ね備えている魔法師である。しかしそんな等級では測れないほど理不尽な強さを持った存在がいる。彼らの指輪は黒く輝き等級という枠組みから外されたことからこう呼称される。


 「枠外ブラック」と──


 現在「枠外ブラック」と呼ばれる魔法師はこの世でたった三人──


「そういえばあいつはエインのこと気に入りそうだな」


「あーあの人かー。僕あの人苦手なんだよねー。戦闘狂だから」


◇ ◇ ◇ ◇


「はっくしょん!! お? 誰か俺の噂をしたか?」


 竜の群れに囲まれている男が呑気にくしゃみをする。


「強い奴だといいな」


 竜は一斉にその男に襲い掛かる。しかし──


「──おめぇらだと足りねぇからな。歯ごたえが」


 次の瞬間竜は全て斬り伏せられた。その男の右手には刀、左手には黒い指輪が──


「剣士だといいなぁ。久しぶりに斬り合いてえ」



    第23話 枠外


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