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第20話 穏便にやりましょう

「ガハハ! いやー、参った参った! マジで強かったぜ」


 勝負を終えたガデロンは豪快に笑いながらフェルド達のもとへと戻った。


「それにしてもフェルド、あいつが強いってよくわかったな」


「雰囲気が幾度と死線を乗り越えた奴のソレだったからね。まあ予想以上というか底は見えなかったけど」


「な! あいつ最初の寸止め以外全部峰でやってたからな。こっちを気遣う余裕すらあったってことだ」


 そんな二人の会話をよそに動揺を見せる二人の女性がいる。


「え…? これ本当に私が支部長に掛け合わないといけないやつですか…? 一体なんて説明すればいいんですか~!」


「もしかして金髪のおチビちゃんも同じくらい強かったりするのかしら……。だとしたら困っちゃうわね…」


「金髪の子はな~。正直僕もよくわからない。魔力量が多いのは間違いないんだけどなんかそれだけではない気がして」


 あの年齢でこの魔力の多さ、それ自体にも驚きはするが保有する魔力の大小は生まれついての才能も大きく関わる。だからあの年齢でこの魔力量もあり得ないことではないはず。多分。しかしそれだけでは片づけられない違和感。これはなんだ?


「ま、いっか。頑張れリサ」


 フェルドは思考を途中で放り投げた。


「まったく他人事だと思って」


◇ ◇ ◇ ◇


 ところかわってエインサイド。


「お見事でしたエインさん! やっぱりエインさんは最強ッス!」


「お前はいつも過剰に褒めすぎだ。ガデロンはちゃんと強かったよ。二等魔法師サファイアなだけはある」


「圧倒しといてそれは嫌味に聞こえるわよ」


 そうは言われてもこれは本心だ。俺は千年鍛えてやっとこの強さを手に入れた。あいつらも当然鍛えているのだろうがそれも精々10年や20年。それであの強さ。才能の違いを嫌でも突きつけられる。


 ──だが才能の話で言うと


「なんスかエインさん? 急にオレを見て」


「いや、なんでもない。それよりホロス。次はお前の番だけどどうするんだ? そりゃ負けることはないだろうがお前の攻撃手段って……」


「わかってるわ。物騒なことはしないわよ。私にもちゃんと考えがあるの」


 ホロスはそう言うと不敵に笑う。


「心配だよ。相手が……」


「そうッスね……」


◇ ◇ ◇ ◇


 そんなこんなでホロスとリサの勝負が始まる。


「杖は使わなくて大丈夫なのおチビちゃん。見たところあなたも中距離遠距離主体の魔法師のようだけど」


「私はそんな補助具使う必要ないわ」


 そんなやりとりを終えると再び受付嬢が気の抜けた試合開始の合図を送る。

 最初に動きだしたのはリサからだった。


てんざし()()──」


 しかし──


「詠唱? 随分と悠長なことをするのね」


 ホロスは手を前にかざし


「“密閉クロズド”」


「へ?」


 リサは詠唱の途中でシルドで作られた半透明な立方体の中に閉じ込められた。あまりに唐突な出来事に思わずリサの詠唱は止まる。


「どうする? そのまま魔法を放てば自分に跳ね返ってくるけど」


「だったら魔力強化した杖で叩き割ればいいだけよ! …って硬いわね!」


 リサは杖でシルドをガンガンと叩くが一向に壊れる様子はない。


「負けを認めれば出してあげるわよ」


「ま、まだ負けてはないでしょうよ! それにそっちだってこの中には干渉できないのでしょう!?」


 いや干渉はできる……できるがしてはいけない干渉の仕方というか……


「往生際が悪いわね。だったら──」


 ホロスは再び手を前にかざす。


 やるのか? いや流石にやらないよな? ……一応止めに入る準備だけはしとこう…


「“密閉クロズド”」


 周囲にからの立方体が複数展開される。


 流石にやらなかったか。しかしこれは……。まあなんとなくやりたいことはわかったよ。わかったけど俺はこれも十分物騒だと思う。


「え? え? 私これからなにされるの!?」


 依然として箱に閉じ込められたままのリサの動揺の声が響く。

 それをよそめにホロスは手を前に出し指をパチンと鳴らす。


「“爆縮インプロージョン”」


 そうホロスが声をあげるとからの箱の一つが一気に縮小し、鈍く歪な音と共に押しつぶされた。


「は……え……?」


「5分の1」


「なになにその数字!? まさか…まさかやらないわよね!?」


 リサは目の前の箱が潰された事実と自身がその箱の中に閉じ込められている現実から最悪な未来を想像する。


「“爆縮インプロージョン”」


 ホロスは再び指を鳴らした。


「4分の1」


 今のでリサが閉じ込められている箱を含めてこの空間にある箱は残り4つとなった。


「だ…出してくださいっ…!! ホロスちゃん! いやホロスさん! ホロス様っ!!!」


 リサは箱の内側からガンガンと叩き助けを求める。


「“爆縮インプロージョン”」


「ひっ……!」


 箱は残り3つとなった。


「そんなことより聞きたい言葉があるな~。こう~?」


 お前……性格悪いな……


「さん!! 降参!! 私の負けです!!」


 こうしてこの勝負は終わりを迎えた。いやどこが物騒なことはしないだよ。


◇ ◇ ◇ ◇


「どうエイン! 傷一つ付けずに降参させたわよ!」


 ホロスは誇らしげな顔をしてこちらに戻ってきた。

 確かにその通りではあるのだけれども。


「……ま、いっか。よくやったホロス」


「ふへへ」


「エインさんも大概ホロスさんに甘いッスよね」


 なんだよ文句あるのか。いやそんなことより──


「受付嬢さん。俺達二人とも勝ちましたよ」


「あ…あばばばばば」


 受付嬢は言葉にもなっていない声を発している。


 約束はちゃんと守ってもらわないとな。



    第20話 穏便にやりましょう


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