第18話 in ギルド
「やーっと着いたわね。全くどれだけ歩かされたことか」
「お前は大体俺が運んでやっただろ」
一夜明け俺達はようやく目的地にしていた町、ズウェルテに到着した。
「オレはこれからギルドに顔出してきますけどお二人は……」
「俺達もついていく。魔王の情報が欲しいからな」
「前も話しましたけど正直ギルドが魔王の情報をどこまで握っているかわからないッスよ。あれは騎士団の管轄ですから」
「わかってる。一応だ」
◇ ◇ ◇ ◇
そんなこんなでギルドに到着。リヒトが扉を開けるとカランカランとベルの音が鳴った。
「すみませーん。受付嬢さーん。報告があるんですけど」
道中魔族と接触したこと、俺の故郷が魔族に壊滅されたことなどはめんどくさいから全部リヒトに報告してもらうことにした。ギルドに所属していない人間が言っても説得力なさそうだしな。
「──ってことがあったんですよ」
「……すみません……。もう一度伺ってもいいですか……?」
受付嬢は困惑しているようだ。まあそれも仕方がないのかもしれない。リヒトも魔族があんな辺境の村をわざわざ襲うのは不可解だと言っていたからな。
リヒトもすんなりと理解してもらうのは難しいとわかっていたのかもう一度丁寧に説明をした。
「──っわかりました…! リヒトさん、とりあえず魔水晶に魔法指輪をかざしてください」
「了解ッス!」
受付嬢が取り出した水晶にリヒトが指輪をかざすとその指輪が淡く光りだした。
「リヒト、これはなんだ?」
その光景を不思議に思ったエインはリヒトに尋ねた。
「これッスか? 魔法指輪を通して戦闘記録を読み取ってもらってるんスよ」
「他にも魔力の痕跡の記録とかもできるんですよ。でもどちらも大雑把にですので口頭での説明もしてもらう必要はありますが」
リヒトの説明に付け加える形で受付嬢が補足をしてくれた。
「っと、確かにリヒトさんが魔族と交戦した記録がありますね。この記録だけではルイグが壊滅したかどうかまでははっきりとはわかりませんが調査団を派遣させる必要はありますね」
流石にまだ完全には信じてもらえてはいないみたいだが嘘だと断定されなくて一安心といったところか。
「しかしエインさん? でしたか? あなたが魔族を倒したという話は正直信じがたいのですが……。失礼ですがあなた魔力が……」
当然の反応だな。俺だって魔力のない人間が戦えるとは思っていなかったのだから。
「本当に失礼ね! エインはこの中にいる誰よりも強いわよ!」
「ホロス。かばってくれるのはありがたいがそんな喧嘩を売るような言い方をしなくても」
あーあ。このギルド内にいる冒険者と思わしき人たちから嫌な視線を向けられてしまったよ。
「ま、いいか。そんなことより受付さん。魔王の情報をくれないか? 居場所がわかっていれば最高なんだが」
「申し訳ないですが部外者の方に情報は……」
「そうか。じゃあリヒトが聞いてその内容をあとで教えてもらおうかな」
「わかったッス!」
「いやいやダメですよリヒトさん! 情報漏洩は!」
まあそうだよな。だったら仕方ない。めんどくさいがここは……
「なるか、冒険者。だったら情報漏洩にはならないだろ?」
「いいッスね! ホロスさんもどうですか!」
「しょうがないわね。エインが入るなら私も入ってあげるわよ」
俺達の会話を聞いていた受付嬢が何か言いたげな表情をしている。そして口が開いた。
「……すみません。なれないです」
「なんでッスか!?」
リヒトが俺達に代わって抗議する。
「一定以上の魔力を保持していない人と未成年は魔法師ギルドには入れない規則となってまして……」
うーん。妥当な規則。死と隣り合わせの仕事をする冒険者にはある程度の実力は初めから求める。そしてそれは魔力量によって判断する。そして命がけの仕事を子供にやらせるわけにもいかないから未成年もダメと。無駄死にを出させないためのお優しい規則だ。
「でもこの二人本当に強いんですよ!? 入れたほうが絶対ギルドにとっても得ですって!」
それでもリヒトは引き下がらず説得を試みている。しかし実際どうしたものか。俺達の目的はあくまでも魔王討伐だからギルドに入ることは絶対条件というわけではないが……
「おいおい、そこの四等。あんまり受付を困らせるもんじゃないぜ」
「そうよ。力のない子は素直に守られていればいいのよ」
そんな光景を見てか二人の冒険者が話しかけてきた。一人は筋骨隆々のガタイのいい男でもう一人は如何にもな魔女帽子をかぶった女だ。二人とも20半ばといったところで指輪は青く輝いている。二等魔法師ということか。
「だからエインさんとホロスさんはめちゃくちゃ強いんですって!」
「そうは見えないからこうして忠告してあげてるんじゃない」
リヒトは二等ふたりと揉めだした。
「どうするエイン? 出直す?」
「そうだな。迷惑をかけたいわけではないしな」
「じゃあ折角だし町を見て回らない?」
「いいな。俺も初めての町だから気になってたんだよ」
代わりに交渉をしてくれたリヒトには申し訳ないがここは一旦出直すということで。
そんな感じで俺達の中で話が固まったところで受付からパンと手の叩く音が聞こえてきた。
「じゃあこんなのはどうですか? この二等ふたりと模擬試合をしてもらって勝ったら支部長に打診するということで!」
「いいじゃないッスか! やってやりますよ!!」
リヒト、なんでお前が勝手に決めんだよ。
「俺達もそれでいいぜ」
「手加減はしてあげるわよ」
随分とノリのいい奴らだな。そっちになにもメリットがないというのに。
「はぁ、どうするホロス?」
「決まってるじゃない! ボコボコのボコよ!」
ホロスはぶんぶんと拳を振りながら答えた。
ノリのいい奴がもう一人いたよ。
「わかった。じゃ、やりますか」
第18話 in ギルド




