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第17話 選択

「……もしかしてホロスさんって女神ですか…?」


 俺とホロスは顔を見合わせた。


「は? え? なに? めがっ…女神? 私が? そっ…そんなわけないでしょ?」


 狼狽えすぎだろホロス……。


「いやでも魔族がホロウノスって……。オレ、昔ホロウノスという名の神がいるって聞いたことが……」


「めっ…女神がこんなところにいるわけないでしょう。……それに女神がこんな…こんな子供の姿なわけない…じゃない……」


 おい後半自分で言ってて悲しくなってただろ。


「そ…それも気になってたんですよ! 子供がこんな魔法を上手く使えるなんて。ホロスさんは才能だって言ってましたけどそれだけじゃ片付けられないと思うんです! それこそ回復魔法なんて高等技術、才能のある大人でもなかなかできませんよ!」


「ぬぐぐ…」


 ぬぐぐって言ったぞコイツ。仕方ない、助け舟を出してやるか。


「作戦タイム入ります」


 俺はホロスを連れてリヒトのもとを離れた。


 ──いやこれ余計怪しいかもな。


◇ ◇ ◇ ◇


「やばっ…やばいわよエインっ! バレっ…バレそうだわ…っ!」


 バレそうというかもうバレてるまであると思うが……。


「というかなんで女神だとバレちゃダメなんだっけ」


 素朴な疑問を投げかけた。


「それは周りの人間が混乱するからでしょうよ! 往来おうらい闊歩かっぽする女神なんて前代未聞よ!」


 確かに。それにいるのか知らないけどコイツを信奉する信者が今のホロスを見たら幻滅するかもしれないしな。


「そうだな。それに今日ホロスを女神ホロウノスとして狙ってきた魔族も来たし目立つようなことはあまりよくないか」


「そうよ! 私たちを狙うだけならまだいいけど関係のない周りの人間まで巻き込む可能性だってあるし……」


「それで言うとリヒトは今回巻き込まれた側だな」


 うーん。既に巻き込んでしまってるんだよな。それにホロスの正体にも勘づいている。だったら……


「これもう話したほうがよくないか。だって──」


 俺は何故そう思ったのか理由を話した。


「え~、いや、う~ん……。まぁ一理あるかしら。でも……」


「まあ最終的に決めるのはホロス自身だ。俺が勝手に話すのは違うしな」


 ホロスはしばらく頭を抱えて悩んだ。そして──


◇ ◇ ◇ ◇


「──というわけで私が女神ホロス・ホロ・ホロウノスというわけよ! ちゃんと崇めるのよ!」


 話した。それはもう軽快に。


「自分で聞いといてなんですけど本当なんですかエインさん」


「ああ、本当だ」


「ちょっとなんで私じゃなくてエインに確認取るのよ!!」


 話してる姿が女神っぽくなかったからじゃないですかね。


「え…? じゃあもしかしてオレ、女神様を一度魔族扱いしたことになります……?」


 リヒトの顔は青ざめている。


「そういうことになるな。でも気にしなくていいぞ」


「それを決めるのは私なんですけど!?」


 なんだよ。別に大して気にしてなかっただろ。


「……いやちょっと待ってください。……もしかしてエインさんも神様だったりします…?」


 リヒトはそっと俺の顔を覗いてきた。


「いや全然。俺は正真正銘ただの人間」


「それはそれでなんかおかしい気が……」


 そうは言われても。


「あなたがただの人間なわけないでしょ! 千年間私が鍛えてあげたんだから!!」


 俺達の会話にホロスが割り込む。


「え? え? せんっ…えっ?」


 随分と混乱しているな。まあホロスに話させて俺だけ話さないっていうのも違うか。


「──というわけで俺は確かに千年戦ったけど人間という部分には間違いはない」


 話した。それはもう完璧に。


「……ど…どこがただの人間ですかっ!! 千年戦い続けられる人がただの人間なわけないでしょう!!」


「いやでも休み休みでだぞ」


「それでもですよ!! というか死にながらだったんでしょう!?」


 なぜ今俺は責められるような言い方をされているのだろうか。


「いや…でもわかりました。というか腑に落ちました。そりゃあお二人とも強いわけですよ…」


「わかってくれたのならよかった。で、ここからが本題なんだが」


「え? 今のが本題じゃないことあります?」


 悪いがあるんだ。


「俺とホロスは何故か魔族に狙われています」


「はい…」


「理由は不明だが少なくともホロスが女神だからということは関係してそうです」


「はい…」


「それであなたはホロスが女神だということに気が付いてしまいました」


「えっ?」


「女神の存在に気が付いたあなたはもしかしたら俺達の情報源としてこれから魔族に狙われるかもしれません」


「えっ…?」


「正直すまんかったと思ってる」


「ええ~~っ!!」


 いや本当に。目的地一緒だから同行してただけなのにこんなことになるとはな。


「しらを切るかどうか迷ったんだが勘づかれている以上既にリスクはあると思って話すことにしたんだ」


「な…なるほど……」


「だからこれからリヒトが取る選択は俺達の存在を誰にも話さない。可能ならここ数日の出来事を忘れてもらう。もしくは……」


 俺が話している途中でホロスが身を乗り出し……


「いっそのこと私たちの旅についてくる! このどっちかね!」


「……ちなみにお二人の旅の目的ってたしか魔王討伐でしたよね」


「そうだ」


 正直自分でも無茶は言ってると思っている。でもホロスの正体に勘づいた奴をほっとくのは俺達にとってもリスクがある。リヒトが言いふらしたりするタイプではないとはわかっているが可能な限りリスクは減らしたい。


「──だったらオレ、お二人の旅についていくほうを選びます」


「……いいのか?」


「オレはお二人のおかげで兄の仇をとることができました。本当に感謝しているんです。だからオレは少しでもお二人の役に立つほうを選びたい」


 リヒトは俺達を真っ直ぐと見た。


 ──俺は気まぐれで稽古をつけてやっただけなんだがな。ただその才能をほったらかしにするのが少しもったいないと思っただけで。ホロスも多分似たようなものだろう。


「ふっ…そうか。じゃあ今から俺達は同じパーティーだ」


「はいっ!! よろしくお願いします!! エインさん! ホロスさん!」



    第17話 選択


◇ ◇ ◇ ◇


「あのちなみにここ数日の出来事を忘れてもらうって何か具体的な方法があったんですか? あっ! ホロスさんがそういう魔法使えるとか!」


「そんなの使えないわよ」


「その場合俺がリヒトの頭を思いっきりぶん殴って記憶を失わせにいってたな」


「あ…あぶね~……」


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