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第12話 灯る

「私が教えてあげるわ。あなたがするべき戦い方を──」


「オレのするべき戦い方……」


「リヒト、もう一度手に火をだしなさい」


「こ…こうッスか…?」


 リヒトは手に力を込め手のひらに火を出現させる。


「エイン、今の見てどう思った?」


「……俺は魔法のことはよくわからないんだが」


「わからなくてもいいわよ。素直に思ったことをいいなさい」


「……そうだな。手に力を込めてから火が出てくるまでにがあったな」


「そう、それよ。リヒトは体外に魔力を放出するのが苦手なのよ」


 ホロスは正解と言わんばかりにエインに指を向けた。


「……だから魔法を使うのが下手なのでは…?」


 リヒトが控えめに言葉を返す。


「そうだけどそうじゃないのよ。リヒト、今度はただ手に魔力を集中させなさい。火は出さなくていいわ」


「こうッスか…?」


「そうそれ! 自分で気が付かない?」


「え…? どういうことかオレにはさっぱり……」


 リヒトはホロスの言葉に意味を理解できず困惑している様子だ。


「はぁ…。しかたないわねぇ。もう直接言っちゃうけどあなたは体外の魔力操作は下手だけど体内での魔力操作は異様に上手いのよ。手に魔力を集中させるのも速かったわ」


「……マジすか!? オレにそんな才能が!!!」


 自分の隠れた才能を教えられリヒトは喜びを見せる。


「……なあ、水を差すようで悪いが結局リヒトは魔法が下手ということには変わりないんじゃないか? いくら体内での魔力操作が上手くても体内で魔法を発生させたら大変なことになるだろう?」


「た…たしかにそうッスね……」


 一転してリヒトは少しがっかりとした様子を見せた。


「まあそれも発動させる魔法によるのだけれどもね。でも魔法を使わなくても強くなれるわよ。エイン、なぜかわかるかしら」


「俺に振るのか。…そうだな。たしか魔力は身体能力も向上させられるんだろう? 体内での魔力操作が上手いなら近接戦が強くなるんじゃないか?」


「正解よ。魔力は体に流すだけで身体強化できる。例えば脚に魔力を多く流せばそれだけ速く走れるようになるわ」


「そ、それくらいならオレも知ってます。でもオレ近距離戦闘に苦手意識があって……。魔力操作以前にシンプルに体の動かし方が下手くそというか……」


「だったら俺が鍛えてやろうか?」


 エインはにやりと笑い刀に手をかざす。


「ひぃいっ!! 光栄ですけど怖いッス!!」


 それを見てリヒトはおもわず後ずさる。


「私のアドバイスはまだ終わってないわよ。むしろこっちが本命ね。リヒト、弓持ってエインに向けなさい。あ、矢もね」


「い…いいんスか…?」


「いいわよ」


「いや俺の許可取ってからにしろよ。まあ別にいいが」


 「いいんだ……」とリヒトは思った。

 そして素直にエインに弓を向ける。


「どうよ」


「ああ、なるほどな」


「え、え、なんスか!? わかってないのオレだけスか!?」


 二人の様子を見てリヒトは困惑する。


「エイン、説明してあげなさい」


 エインは仕方ないなという素振りを見せ、話を始める。


「リヒト、お前が弓を持った瞬間お前と弓の気配が同化した。多分魔力を込めたんだろ」


「そうッスよ…?なにかおかしいことでも…?」


「もう一度言うぞ。()()()()()()()だ。お前は体外の魔力操作が苦手なはずなのに」


 エインは言葉を強調した。それを聞きリヒトは何かを察する。


「もうわかったかしら? あなたは弓を自分の体と同じように認識しているの。だから弓に魔力を流すのが淀みなかったわけ。そして弓を自分の体のように扱えるのなら──」


 ──体内で魔法を発生させたら大変なことになる


「……弓に魔法を発生させればいい……」


 瞬間、矢が灯る──


「やればできるじゃない」


「うおおぉ!! できました!! すごい!! 本当にお二人ともありが……あっ……」


 興奮したリヒトはうっかり弦を離し燃え盛った矢がエイン目掛けて発射されてく。


「全く…しまらないな…」


 エインは刀を抜ききっさきを矢じりにあて受け止める。


「ごめ…すげっ…ごめんな…すげっ……いや、ごめんなさいエインさん!!」


 やかましいなコイツ……


「でもやっぱり言わせてください!! エインさん凄すぎます!!」


「お前のもなかなかだったぞ。最初に喰らったやつより手に衝撃が響いた」


「エインさんマジでかっけぇ……」


 リヒトは目を輝かせてエインを見つめる。


 人の話聞いてるのかコイツは……


「というわけで弓を魔力の中継地点にして魔法を放つ。これがあなたに向いてる戦い方よ」


「弓を……中継地点に……」


 リヒトは感慨深そうに弓を見つめた。


「なあ、ホロス。これ俺に弓向けさせる意味なかっただろ」


「ちゃんと受け止められたじゃない」


「答えになってないぞホロス」


 そんなやりとりをしているとリヒトが深々と頭を下げてきた。


「本当にありがとうございます! こうやってまともに魔法を放てるときが来るなんて……お二人に出会わなければオレはずっと燻ってたままでした」


「ホロスはともかく俺はなにもしてないと思うが」


「いえ、エインさんにも……」


「だから俺も手伝ってやるよ」


 エインは鞘のついたままの刀を手に取る。


「へ?」


「魔力による身体強化。やっぱりそっちも必要だろう」


 そしてそれで左手をペシンペシンと叩く。


「はえ…?」


「今からこれを振るから身体強化してちゃんと避けるんだぞ」


「ぎゃ~~~~~!!!!」



    第12話 灯る


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