だるまさんがころんだ(中編)
「たけちゃん、久しぶり」
少し照れてモジモジしている整
「何で、お前が居るんだ、それにその姿、あの日お前は確かに事故で…」
毅の発言に整は答えづらそうにする。
“あの日“のまま、あの時の格好の整がそこにはいた。
「ころんだ!!!」
少年は間髪入れずに、ゲームを進める。
振り返る少年は整を見つけてこちらに走ってくる。
少年は雨に打たれれば打たれるほど生々しく、おぞましい真の姿を表し始める。
足の肉はボロボロに剥がれていて、片方の足は逆側を向き、身体中もどうやったらできたのかわからないほどの凄惨な傷と顔も限界を半分以上留めてない上、血が渇き肉が腐った生臭い激臭を放つ、少年がどういった原因で死んだかはわからないがただその凄惨さを物語っていた。
同時に毅は少年もまた何らかの強い怨念を持つ霊なのだと察していた。
「ねぇいきなり二人になるなんてずるいよ!もう一人のお兄ちゃんはだーれ?」
「僕はこのお兄ちゃんの弟なんだけど僕もゲームに混ぜてくれないかな?」
少年は整の言葉を聞いて、少し悩んだ上で条件を出してくる。
「なら二人で僕のことを“同時にタッチ“したら勝ちね!
それでもいい?」
「もちろん!たけちゃんもそれでいいよね?」
「もうこのゲームをやめることはできないなんだよな多分…」
「やめれるわけないよ!僕が勝つか、お兄ちゃん達が勝つか、どっちかが決まるまで終わらないよ!」
わかっていたと言わんばかりの顔で少し落ち込む。
「ならスタート場所はさっきの最初の場所からね!」
降り続け強くなる雨はやがて、体に少しずつ疲弊と、痛みを与え始める。
「………よし!やろっか!たけちゃん!」
困惑が隠しきれない毅。
「もう頭が追いつかねぇよ。謎の男の子に声をかけられてその子は化け物みたいな容姿をしてて、そんな子とだるまさんがころんだをしてたら今度は死んだはずの整が目の前にいて、当たり前のように話してる、頭が恐怖と混乱でおかしくなりそうだよ」
「僕もなんでたけちゃんの前に今入れてるのか僕自身全くもって分かってないんだ…あの日僕は確かに道路に飛び出して死んだはずなのに、なぜかこうしてたけちゃんにまた会えることができた」
少し毅は考える。
「そうだ、今日はひとちゃんの三回忌で俺はそこを逃げ出してきた…何か関係があるのかな」
「三回忌って何?」
「ひとちゃんが死んだ日から三年が経ったってことだよ……」
「――――えぇぇー!?」
事実を知ってすごく驚く整。
「確かにたけちゃんデカくなった?」
じぃっと毅の容姿を見てから話す整。
「どっからどう見てもあの日よりでかいだろ!」
二人はどこか懐かしい空気を味わう。
「じゃぁ二人とも!始めるよぉ!!」
遠くにいた少年はだるまさんがころんだの定位置について合図を送ってくる。
「たけちゃん、僕はよく知ってるんだ、あの子のゲームは途中で辞めることは出来ないし、ルールを破ることも許されない、正々堂々あの子に勝つしかないんだ、頭が追いつかないと思うけど今は僕を信じて」
「それよりもひとちゃんは大丈夫なのか?多分あの子もひとちゃんも……そのお化け……みたいな感じなんだよな」
整は深く、ただ強く頷く。
「たけちゃんも想像つくでしょ、その通りなんだよ、でもこのままではたけちゃんもお化けになっちゃうし、とりあえずあの子とのゲームを終わらせてその後話そ」
「約束だぞ?あの子とのゲームが終わった後ちゃんとまた話せるんだよな?」
「うん、約束するよだから全部を説明してる暇はないからさ」
毅はこの状況をとりあえずは整理した上で“スゥー“と深く息を吸う。
「じゃ………やろうか!久々の二人での協力だね!」
「あぁ!!」
二人はスタートラインに立つ。
始まる真のだるまさんがころんだが!