H-2 メディアとヨーク
メディアとヨークの続きです
突進後の刺突は逸らしたものの、
次の3連刺突は最後の一撃を右肩で受けるしか無かった。
「イッテェな、こんにゃろ!」
肩を貫いた細剣を抜けないように
押さえつけながら俺は奴のドテッパラに蹴り込んだ。
そしたら飛ぶ飛ぶ。ウェイト無いやつは飛ばすに限るぜ。
肩を見るとかなり血が流れてる。
思ったよりだいぶ深く刺さっちまったようだ。
「クッソ、無駄足の上に無駄傷かよ。ついてねぇ
オイ女、生きてんナ?
治療費はてめぇが払えよ?」
咳き込みながら女はゆるゆると立ち上がった。
「当たり前でしょ、この程度で死なないわよ
誰だと思ってんのよ」
「カネ」
それだけ言って二本指で寄越せとジェスチャーすると、
女は銀貨の入った袋を投げてきた。
俺は左手でバスッと受け取って言う
「まいどっ」
俺は笑って背を向けた。
正直叫びたいほど痛いんだが、我慢だ。
渋い男ってやつは背中で語るもんさ。
歩行が穏やかになるのは内緒だがな。
「ねえ、痛くないの?」
「あん?」
後ろから声を掛けられて振り返ろうとしたところで
傷口を指で抉られた。
「グゴァァ、イッテェェェェ!!
何しやがる!?」
ゼハゼハ言いながらそいつの顔を見ると
不思議そうな顔をしながら言いやがった。
「なんだ、Bランクでもやっぱり痛いのね」
だってよ。
バカなの?
全力でそう思ったけ我慢したぜ。
傷口抉って「痛いのね?」なんていう奴は
馬鹿に決まってる。
「テメェ、覚えてろよ。次会ったら絶対泣かすからな」
そう言ってそいつとは別れた。
後ろで”なんとか ”みたいとか言ってケタケタ笑ってやがったが、
渋い男の背中に惚れちまったのかもしれない。
罪な男だぜ。
女騎士に燃えるとか言ってた先輩はアホだと思う
あんなのばっかだぜ?
いや・・・あそこまでひでぇのは初だな。
あいつは、今度会ったら犯そうと思う。