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エルブの森  作者: 秋乃 志摩
予兆
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E-13 カスタジェ 休日と遭遇3

カスタジェの目の前に突風を吹かせた大フクロウが着地した。


カスタジェの目の前に立つ大フクロウは、

首を傾げながらカスタジェの持つ包み布を見ていた。


カスタジェは包み布から残りのパンを取り出し、

干し肉を挟んで大フクロウの前に差し出した。


大フクロウはそれを嘴で挟み、首を振りながら飲み込んだ。

それから大フクロウはカスタジェを見つめて言った。

「待たせたね、話の続きを聞こうか」


カスタジェは頷き、襟元を緩めて、

上衣から右腕を抜き、右肩から右腕を大フクロウに見せた。

「毒と言われて笑ったのは、こういうことじゃ」


大フクロウは大きな目を開いたまま、瘴気に冒された右腕を覗き込んだ。

「これは?

 何をした?」


カスタジェは大フクロウを見つめながら続けた。

「儂は祈りの守人でな、森の穢れを払い、

 森の穢れを儂が引き受けている。

 ここ最近、穢れが増したせいで、浄化が間に合わなんだ。

 穢れの原因を知っていたら教えてくれんか?」


大フクロウは不愉快そうにこたえた。

「調律者ごときが?

 言ったところでエルフが何をするの、

 調律だけしていればいいものを」


カスタジェはさらに続けた。

「調律者とはなんじゃ?

 エルフのことか?」


大フクロウの不愉快そうな表情は増した。

「エルフが弱いのに、他の種族と争いが起きないのは、

 森の調律役として見逃されてるからだよ」

「おぬしの言う調律とは、森の穢れを払う役目のことか?」

「そうさ、きみがそれなんだろ?」


カスタジェは大フクロウを見つめ、

「そうじゃ、儂が穢れを払い、穢れを引き受けている。

 じゃがふたつきほど前から穢れが強くなってな、このありさまじゃよ」


大フクロウは瘴気を放つ右腕を見て、カスタジェの顔を見た。

「きみ、このままだと死ぬよ」


カスタジェは小さく頷いた、

「で、あろうな。

 儂は元より長くないゆえ、それでも構わん、

 じゃが、弟子に同じことはさせられん。

 知っていることがあれば教えてくれんか?」


大フクロウは少し考える様子だったが、

「推測になるけど、

 フォルランは、多分もう長くないんだ。

 大樹の連中は、瘴気がフォルランに届くことを恐れて

 大樹の周りに結界を張った。」


カスタジェは驚き、口調が強まった。

「なんじゃと?

 それはいつのことじゃ?」


大フクロウの不愉快そうな表情は崩れない、

「知らないよ、知ってるのは大樹に結界が張られて、入れなかったってことだけ。

 きみの話からするとフォルランの加護も結界のせいで外に届いてないのかもね」


カスタジェは頭を抱えた

「どうすればいいんじゃ?

 大樹にも入れない、加護はない、穢れは増す、

 おまけにフォルランが長くないとは・・・」


「僕らは普段、森の西に住んでる。

 変な奴らがたまに襲ってきたけど僕らの相手じゃない。

 でも、精霊と森は段々と死んでいった。

 だから僕が大樹の様子を見に行くことにしたんだ。

 まぁ、結局入れなくて、他の種族の様子でも見て帰ろうかなと思ってた」


「他の種族はどうだったんじゃ?」

 

「白き翼と花弁族は大樹に引き篭もってるよ、

 ああ、大樹に入れなくなったせいで、大樹の前に集落がひとつ出来てた。

 そこには色んな種族がいたよ、黒熊に狼牙に木人、エルフもいたな。

 大樹をどうするか話し合いをしてたよ」


カスタジェは身を乗り出した

「そのエルフは金色の髪の女じゃないか?

 名前はランティア」


大フクロウは丸い瞳を瞬きした、

「名前は知らない、でも金色で長い髪のエルフがいたよ」


カスタジェは下を向き、考えた、

そして大フクロウに問い掛けた

「おぬしらガークァはこれからどうする?」


大フクロウは丸い目でカスタジェを見つめながらこたえた。

「相談してからだけど、

 あの村の連中と一緒に大樹の結界を壊そうと思ってる。

 白き翼と戦争になりそうだけど、気にしてらんないね。

 フォルランを起こすか、

 ダメなら殺して代わりの神をたてる。

 失敗したら森を捨てて逃げることになるかもね」


カスタジェは猛禽の目に睨まれながら、

額から流れた冷たい汗が頬を伝った。


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