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エルブの森  作者: 秋乃 志摩
予兆
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H-13 ヨーク 薪集めと号令

給仕のレチカから魔獣に"もや"が出ているらしいと聞いたヨークは・・・


マスターとグリグリが酒場を飛び出した後、

残された俺はまあ、色々考えてた。


炎火はガッツリ必要だ。

家ごと燃やしちまうのが一番手っ取り早い。


俺は給仕の姉ちゃんの腕を掴んで引っ張り、振り向かせた。

掴んだ腕は力を入れたら折れそうな細さだった。


「レチカっつったよな?

 火が要る、西の家はかなり燃やすが、いいか?」

振り向いた女は俺を見た、

女は怯えてなかったが、痛そうな顔してたから手は放した。

「わりぃ、強く引っ張っちまった」

女は腕をさすりながら、少し下を向いて

「大丈夫」

と言って首を横に振った。

給仕の顔が少し赤くなっていたので、俺はしゃがみ込んでそいつの顔を下から覗いた。

やっぱちょっと赤かった。

んで、そいつと目があったんで言ってみた、

「俺に惚れたか?」


女は俺の頭バチコン叩いて、店の奥に走って行った。

ったく、罪な男だぜ・・・


「あ・・・」

自分の男前っぷりに感心したのは一瞬で、

家を燃やしていいか聞きそびれたことに気がついて、

給仕の走って行った奥を見た。

俺は頭を掻いた。


(住人どもには悪いが、ダメでも燃やすしかねえだろ?)

(もし、火が消えやがったら・・・)


俺は歩いて酒場の外に出た。

上を見上げると、空は青く晴れていたが、雲もある、山影からは黒い雲も見えた。


夜に月が雲で隠れたら俺らはただのエサだ。

暗闇で魔獣と戦闘なんか出来ねぇ、同士討ちになる。

明かりのためにも家を焼くしかねぇな。


しっかし、雨が降りやがったらどうしようもねぇぞ?

結界が雨を通さないならまだマシだが、どうなんだ?

チッ、これはグリグリに聞くしかねぇか。


天気の読める山師に空見をさせて、西の家を焼くか・・・?


俺は舌打ちしながら酒場の中に戻った。

給仕を探したが、見つからない。

まだ奥かもしれねぇ。


俺はテーブルや椅子や床に座ってるハンター達に声を掛けた

「おい、オメェら、木材とか薪を集めろ、あと油だ!

 あるだけ集めておけ、集めたら西の墓地の手前に木材で櫓を組んでくれ

 わかんねぇならとりあえず積んでおけばいい、

 ああ、拾ってくる枝木なんかは水気ないのを選べよ!?

 夜まで晴れてたら今夜は魔獣狩りだ、てめぇら準備しろ!」


ハンター達は立ち上がって動き始めた。

「いつ暴れられるかと思ってウズウズしてたんだ」

「ガハハ、俺もだぜ」

「犬っころなんぞ楽勝だぜアニキ」


俺は3人だけ引き留めて、残りは資材集めに行かせた。

犬みたいな顔の男と長茄子顔の男、それと背の低い男。

犬顔には残った村人への連絡と天気に詳しい山師を探すように言った。

背の低い男には西の家の奴らに家を燃やすから貴重品持って別の家に避難するよう伝えろと言った。

長茄子顔はレチカやマスター、グリグリへの伝令役としてここに残らせた。


戦場になる場所は確認しねぇとな。

俺は酒場を出て、西にあるっていう墓地へ走った。


通りを西に向かって走っていると進行方向のだいぶ先に、

さっき指示を出しておいた背の低い男が村人と話をしていた。


俺はそいつに向かって叫んだ。

「墓地ってのはどこだ?」

そいつはこっちを向いて手を上げ、村人に向かってなんか喋った。

それから既に間近にきている俺を向いて言った、

「このまま真っ直ぐ行くとすぐに右に行く道が見えるってさ!」


俺は走って通過しながら、右手をあげて声を掛けた

「助かった、そっちは頼むぞ」

「おう」

返事が後ろであったが、俺はそのまま走った。


あいつの言う通りに進むと、前方の一段高くなった場所に、

おそらく墓地らしきものが見えた。

らしきってのは、まあ、墓地というにはショボ過ぎたからだ。

木杭を地面にぶっ刺して、それを囲むように石が積まれているだけの墓だった。

たぶん自然信仰が残ってんだろうな・・・墓が少ねぇ、

10本くらいか?

死んだら身体は山に返すって自然信仰が強い場所はまだ多いからな。

墓地の北は木が3本あってその奥は畑んなってる、

西は林だ、林の先は多分崖になってるはずだ。

墓地って話だったが、ずいぶん狭いじゃねぇか。


40匹か・・・

俺は西の林を見た。

いるとすればこっちだろう。


俺は林に入って、さらに西に向かった。

人が立ち入ってる感じには見えねぇ。

暫く進むと予想通り、崖になってやがった。


クッソ、めんどくせぇ。

手掛かりひとつねぇうちに陽が暮れちまうぞ。


俺は足元の石ころを蹴飛ばした。


石ころは崖を越えてそのまま落ちていくかと思ったが、

崖の先で乾いた音を立てて見えない何かにあたり、

直下に落ちていった。


俺は元来た道を戻ろうと崖に背を向けたが、そこで乾いた音はもう一度聞こえた。


俺は急いで崖に戻り、落下しないように気をつけながら身を乗り出して崖下を見た。

よく見えないが、壁面に黒いものが見えた。

だったら、うつ伏せになって胸まで乗り出してみた。

乗り出した重さで、両足が浮きそうになるのを耐えた。


クソだ、崖に横穴がありやがった。


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