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エルブの森  作者: 秋乃 志摩
予兆
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E-12 カスタジェ 休日と遭遇2

カスタジェは祈り明けの散歩で湖に向かったが、そのまま夜まで眠ってしまった。

起きると大フクロウがいて、水浴びをしてくると言った。


カスタジェは精霊が照らす湖の草地で、ただ眺めていた。

大フクロウが水飛沫を撒き散らしながら空を舞い、

今また湖に頭から急降下していった。

黄色く輝く精霊たちは湖の中央上空に、ざわめき、集まり、激しく光り、静かに光った。


その群れに向かって大フクロウがまた水中から飛び上がり、

群れに穴をあけて、精霊たちは風圧に吹き飛ばされた。


(こんな光景が見れるなら、長生きも悪くないのぅ・・・)


カスタジェは目の前で繰り広げられる光景に、思い耽りながら頭を掻いた。


ふと下を見ると襟内に包み布が見え、

包んだパンと干し肉があったことを思い出した。

カスタジェは包みを開き、

パンを半分に割って干し肉を一切れ挟むと、

それを口に咥え、

残りは包み直して襟元にしまいこんだ。


干し肉のサンドを齧りながらまた湖を見ると大フクロウは湖上を飛び回り、

精霊たちは円を描いて回り出した。


それを眺めていたカスタジェの脳裏に、突如浮かんだ言葉


––精霊の矢––


そうじゃ・・・

あれは、"精霊の矢"の陣・・・

精霊が使うオリジンか・・・?

しかも、あの数多の精霊が一斉に・・・??


ガークァ!!、おぬし死ぬぞ!!


カスタジェは思わず立ち上がり、空を飛び回る大フクロウを見た。

大フクロウはこちらを見て、一瞬、笑った気がした。


円を描いた精霊たちから、無数の精霊の矢が放たれた。

空を割くような甲高い音が連続する。

精霊たちの矢は雨のように撃ち続けられた。

ガークァはそれを上空で飛び回りながら、

翼を開いて急制動を掛けたり、

片翼飛翔して降下、急旋回しながら躱している。


精霊たちの円は、無数の矢を放ちながら回転し始めた。

一段と太い矢が中心部から放たれる。

大フクロウがそれを躱そうと飛翔したが、

その矢は曲がった。

空を旋回して大フクロウを追いかけた。

大フクロウは緑色に光って加速し、光を纏いながら高速に急降下すると、

湖スレスレで急停止の宙返りをし、両翼を広げて、

湖中央に向かって大きく翼を仰いだ。


一瞬の後、豪風が吹いた。


木々が軋む音をたて、風は切り裂く音をたてた。

カスタジェは吸い込まれるように、湖の方に倒れて転がり、

手に持ったサンドが地面に落ちて転がった。


カスタジェが顔を上げた時、湖の上に精霊はいなくなっていた。


カスタジェは顔についた土を払い、立ち上がって服についた土を払った。

頭を触ると髪の毛の中に硬いものがあり、つまんで顔の前に持ってくると石だった。

ヒゲを撫でるとざらざらした感覚があり、

カスタジェは下を向いて、大きなため息をついた。


そのまま下を向いていると、地面に動く影が現れた。

カスタジェが見上げると、ガークァが翼を広げて着地しようとしていた。


カスタジェはガークァを見つめ、

ガークァはカスタジェを見つめながら着地した。


暫くそのまま見つめあっていたが、

カスタジェは視界の隅に転がった包みを見つけ、それを拾い上げた。

そしてガークァに向かって言った。

「食べるか?」


大フクロウは梟らしい鳴き声を出して、首を傾げた。


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