H-1 ハンター メディアとヨーク
メディアとヨーク編 第0話です
村の収穫はとうに終わり、皆が冬支度を始める頃合い、
野犬が増えたってんで討伐依頼が出てたから来てみたら
どうも魔物化してやがるみてぇだ。
ギルドで話を聞いて報酬の割にきつそうなんで
今回はパスかな、と思って酒場でエールを飲んで
給仕の女にちょっかい出してたんだわ。
あ、口だけな。触ってないぜ?
俺の予定では、無駄足踏んだものの
危ねぇ依頼は受けねぇってのがポリシーっつか、先輩の教訓なんだわ。
それで一泊してから街に戻るつもりだった。
出来れば給仕のネエちゃん引っ掛けたかったんだけどサ。
そんだけなんだぜ?
そんだけだったんだ・・・
好奇心と好戦さをその目に宿す女が目の前にいる。
金色の髪を揺らしながら、
その女は金属音を立てながら鞘から細剣を引き抜いた。
俺はなんでこんな目に遭わされてんだ・・・
「さあ、かかってきなさいよBランク
それとも酒の勢いでのフカシなの?」
目の前の女は構えの姿勢に入っている。
「冗談じゃねぇ・・・
なんでタダで命を賭けてンだよ!
Bランクなのは確かだが、お前の相手をする理由はねぇよ
そもそもおまえ誰だよ?
アサシンギルドの奴か?
商業ギルドの借金取りか?
金ならねぇぞ、使っちまったからな」
金色の髪の女は興味深そうに俺を見て、
「メディアよ」
そう言った。
「そのメディアさんは、借金取りか?」
「違うわ」
「アサシンギルドか?」
「違うわ」
「じゃあ何だよ?」
「メディアよ」
そう言って細剣を身体に引きつけながら向かってきた。
俺は剣を抜いて徹甲盾を構えながらぼやく、
細剣は相性悪いんだよ・・・ちくしょう