H-9 ヨーク捜索
取り敢えず村の北の方を探すことンなった。
俺は適当に様子見るだけのつもりでいたんだが。
グリグリはマスターから情報を聞いてたらしい。
北の森の手前で血痕があったが、そいつが見つからねぇらしい。
村には狩人もいるらしいが、足取りが追えなかったとかなんとか、
咥えて引き摺ったなら痕跡残りそうなもんだが・・・
そんなのが何回もあったらしい。
で、酒場から歩いてその血痕の場所に行くことになったわけだ。
村の家が途切れてすぐのところに森があった。
森っつうよりなだらかな山だったが。
「おし、血痕探すぞ、俺が左行くから、お前右に行け」
「見つけたらどうすんの?」
「声出せ、そっち行ってやる」
「わかった」
俺は森を右目に警戒しながら、森の手前を歩いた。
少し行くと崖になっていて、俺がいるのは崖上だった。
下に見えたのは原っぱと畑、それと木、木、木。
仕方なくさっきの場所に戻るとグリグリが見えたんで、声を掛けた。
「おい、見つけたか?」
グリグリは首を横に振った。
俺はグリグリのとこまで小走りに走った、
「どういうことだ?」
「え?見つからなかったの?」
「ああ、あっちは先が崖ンなってた、そっちは?」
グリグリはまた首を振った。
「お前見落としたんじゃねぇの?
これだから雑魚は・・・」
俺は右側も見ることにした。
グリグリはぶつぶつ言いながら後ろを着いてきた。
歩いたが見つからねぇ、
「止まって」
後ろでグリグリがそう言った、
振り返るとグリグリが森を見て立ち止まっていた。
「お前な、やる気ないなら帰るか?」
俺は言ってやったさ
「結界よ、この先はない」
「あ?」
俺は石ころを拾って行くはずだった方にぶん投げた。
20歩くらい先の場所で
乾いた音がひとつ、石ころは跳ね返った。
「どうなってやがる?」
俺はグリグリを見たが、
あいつはぶつぶつ言いながら何か考えてる。
「取り敢えず戻るか」
俺は早々に諦めて戻ることにした。
歩きながら俺は考えてた、
痕跡やら血痕やら血の匂いやら、
全部消してんのか?
何がしてぇんだ?
野犬がそれをするか?
否
魔物ならどうだ?
否
人なら?
不可能じゃねぇ、が浄化だぞ・・・
神官が来て浄化したとかか?
意味がわかんねぇ。
歩いて酒場に向かってると
後ろからグリグリが走ってきた。
「やっぱり話しておいた方がいいと思って」
そう言って珍しくしおらしい様子をしてやがる、
「何の話だ?」
「私はその、色々見えたりするけど、
私にはあるの、私にとっては呪いみたいなものだけど
でも」
「何の話か全然わかんねぇぞ?」
「私には何かついてるの、その・・・」
俺は全てを察した
俺はグリグリの肩を掴んだ
「話には聞いたことがあるが、本当にいたんだな・・・
お前、そうだったのか?」
グリグリは頷いた、
「でも秘密にして」
「ああ、口は堅いから安心しろ」
グリグリは安心したようだった。
秘密を話してくれたグリグリに敬意を払わなきゃいけねぇ。
でも聞かないわけにもいかない。
「個人の事情に突っ込むようで悪いんだが、
俺も初めて会ったんだ、だから言わせてくれ!」
「何?」
「お前もチンコあるんだな?」
腰の入った鉄拳が、俺の顎と意識を吹き飛ばした。




