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エルブの森  作者: 秋乃 志摩
予兆
13/65

H-4 メディアが見たBランクの戦い

Bランクとは


”Bランク”が付いて来いって言うから、一緒に酒場に戻ってきたけど

なんかハンマーがどうとか言って喚いてる。


ハンターなんてほとんど行き場のないクズの吹き溜まりだし、

こんなものよね。

結界がどうのってのはなんだったの?


一斉に大声で叫び出して硬直した。

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」

「サーイエッサー」


"Bランク"は立ち上がったハンター達の頭を握り拳で順番に殴っていった。

まだ寝てる人がいるけどどうするんだろうと思ってたら

お腹蹴り上げて転がしてブーツで頭蓋骨グリグリしながら叫んでる。


カウンターの方を見たら

酒場のマスターはお皿と布巾持って硬直してるし、

給仕の女の子は鈍い音が聞こえるたびに目を逸らしてる。

私は流石に乱暴すぎると思って声を上げようと息を吸い込んだ。


そしたら"Bランク"は人差し指を立てて右腕を真上に伸ばした。

そして

「寝起きで酒も抜けてねぇと思うが

 マジな話をする

 死にたくねぇなら耳かっぽじっとけ」

そう言った。


そいつは椅子を足掛かりに大きな一枚板のテーブルの上に

半グレ座りして両手で

”近くへ寄れ”

のジェスチャーをした。


私も前正面の方に行きたかったけど

筋肉の海が邪魔で行けなかったから横に移動した。


”Bランク”が結界の話を始めた。

 多分討伐するまで外の騎士どもは

 俺らを出す気がねぇ

って言葉を聞いて男達の気配が変わった。


肉の海の上に"Bランク"が立ち上がって

「まあ、俺はそうみてるわけなんだが、

 あんたどう思うよ?

 騎士サマ」

そう言って、私の左3mほどのテーブルにいた男を睨んだ。


その瞬間、肉の海の壁から男達が顔をこちらへ向けた。


全ての顔に殺意が張り付いていた。


睨まれた男は何か喋っていたけど

私は大きな耳鳴りがして何も聞こえない。

動けない。


”Bランク”はテーブルを降りてその男を睨んでた。

騎士サマ?は斬り合いになっても十分対応できる距離まで近づいて

"Bランク"に何かを言った。


"Bランク"は親指で曲剣を鞘から弾き飛ばし、

獣のように左拳と左膝を床に着けると、宙空の曲刀を順手で掴み、

背追うようにほんの刹那構えた。


左拳が動いたかと思った瞬間、低い姿勢のまま曲刀が振り上げられる

"Bランク"が右足を踏み出した瞬間、岩でも落ちたかのような轟音、

その瞬間、目の前で殺意の眼光をした悪鬼が剣を振り下ろした。


背負い投げのように振られた剣は騎士の盾を"く"の字に曲げ、床の木板が空間が軋むように裂けた。

その剣圧で酒場の木壁は物凄い勢いで割れながら吹き飛んだ、

止まらぬ悪鬼は返す刀で横なぎの二撃目、また右足が着地すると同時に轟音が響き、

曲刀は構えた盾を弾き飛ばし、その盾に引きづられるように騎士が吹き飛んだ。

"Bランク"は手と握った曲刀を怒りに震わせながら立って、長い長い咆哮をした。

龍が登るかのような長い長い咆哮。


叩き割られた木クズと風圧が一面に埃を巻き起こし、

吹き飛ばされた壁面からは月明かりが差し込んで、"Bランク"を照らした。


まるで昔

絵本で見た月下の狼の咆哮みたいだった。



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