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エルブの森  作者: 秋乃 志摩
赤い日
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赤い日 1 R木人リュクテ

言われるがまま

目を閉じて昏い闇が視界を遮った

ただ無音


暫くの後

強烈な浮遊感

吐き気に眉を顰める

1分だったのか10分だったのか

それが止むと


聞こえたのは人々の悲鳴と叫び

轟音と熱風、焼けていく木と肉の匂い

崩壊の音が聞こえる


炎熱で歪む赤い光景のなか

金色の長い髪を靡かせた若い女が叫んでいる

「女子供と年寄りは避難させろ」

「だが森が・・・家が・・・」

膝をついた男が嘆く

女は顔の向きを変え、周囲の槍を持った男に問いかける

「エンティアはまだか?」

問われた男は苛立ちを隠さずに答えた。

「ジャヴォック相手に何が出来る?あの暴竜は災害だ。

小さき者には傷さえつけられん。

逃げて隠れる以外に何をする。何が出来る?」

女は不愉快そうに舌打ちし、紅く燃え雄叫びを上げる大きな獣を睨むように見上げた。

「我が森に仇なす暴竜よ、己が巣に帰れ。」

その声は小さく、まるで独白のように消えるかと思われたが、


瞬間


暴竜がこちらを向いた

捕食者のギラついた目が女に向かっている

刹那、口元が愉悦に歪んだように見えた後

口から炎の息が放たれる

最早息とかブレスとかではない、

火炎と灼熱の津波だ。


「バカ野郎、すぐ離れるぞ」

男が金髪の女の手を強引に引っ張って走り出す。

その動きは風のように疾く、男は繋いであった馬のロープを槍で切り落とし、

走り出した馬に女を乗せ、馬の尻を剣の入った鞘で2回叩いた。

数秒後には、その二人は視界から消えていた。


少し遠い木の根元にいたために炎波から免れたが、僕はなぜここにいるのか。

暴竜に目を戻すと、

それはもう眼前だった。



少々改変しました。

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