第006話 「ギルドへの道」
トレーニングが本格化するにつれ、彼、大輔、朱華音は生活費やトレーニングの装備費用の問題に直面していた。
「お前ら!アリーナで戦うためには、強力な防具や武器が必要な事は知っているか?それにジムの費用もそろそろ稼いでもらわないとな!」
その様に小深山に伝えられた彼らは、資金を稼ぐ方法を模索していた。
ある日、小深山が彼らに提案を持ちかけた。
「お前たち、ギルドに登録してみる気はないか?」
「ギルド?」彼が首をかしげながら聞き返す。
「そうだ。この世界では警察が少なく、治安の維持のために民間ギルドが重要な役割を果たしている。ギルドに登録すれば、護衛や荷物の運搬、時には指名手配犯の捕縛といった仕事を請け負うことができる。もちろん報酬も悪くない。」
「それって、あたいたちみたいな新参者でも登録できるん?」朱華音が興味津々で尋ねる。
「ランク制だが、最初はDランクの仕事から始められるはずだ。試してみる価値はあるだろう。まぁ、今のお前らなら少しは稼げるだろう。行ってみな。」小深山が自信を持って答えた。
早速三人はギルド受付所へ向かった。渋谷の中心にあるビルの一角に、そのギルドがあった。重厚な木製の扉を開けると、中には近未来的な内装が広がっていた。大型モニターには、現在進行中の仕事や報酬がリアルタイムで表示され、受付カウンターには多くの人々が列を作っていた。
「いらっしゃいませ~!ギルドへの登録をご希望ですか?」
元気な声で三人を迎えたのは、笑顔が印象的な受付嬢、リンダだった。リンダは目が大きく、小柄で親しみやすい雰囲気を持った女性で、その愛らしい笑顔は誰にでも好かれるだろう。
「はい、登録をお願いします。」
彼が答えると、リンダは笑顔で端末を操作し始めた。
「では、早速ですが、こちらに手をかざしてください!」
リンダは薄い端末を渡し順番に3人は手をかざした。
「はい!終わりましたら、こちらの端末で名前やランクなどを入力してください!あとパーティ名も決まっていたら入力お願いします!」
「パーティ名が必要なのか?」
彼が問う。
「決まってなかったら入力しなくて大丈夫です!」
リンダは淡々と説明していく。
「とりあえず、名前は後で考える事にしよう、、、。」彼はすぐには考えつかないと即座に思った。
リンダの説明が続く。
「それでは、当ギルドについて説明します!」
「ギルドは、元々治安維持のために作られた民間組織なんです。この世界では警察官が少なく、治安維持の7割はAIロボットに依存しているんですよ。でもそれだけでは人手が足りなくて、民間の力を借りるためにギルドができたんです。」
「へぇ~、そんな背景があるんだな。」
彼が感心していると、リンダは仕事の種類について説明を続けた。
「ギルドの仕事は多岐にわたりますよ!指名手配犯の捕縛、護衛、荷物の配達、さらには迷子のペット探しなんて依頼もあります。依頼を受けるには、みなさんのランクに応じた仕事を選んでくださいね。」
リンダの説明を聞きながら、三人は登録手続きを進めた。
「それでは、お三方の初期パーティランクはDランクになります。Dランクでは、簡単な護衛や軽めの仕事を受けることができますよ。早速、依頼を受けてみますか?」
彼らは顔を見合わせ、頷いた。「お願いします。」
リンダが提示したのは、ある商人の荷物を隣町の横浜まで護衛するという依頼だった。報酬はまずまずで、ランクアップに向けた第一歩としてはちょうど良い内容だ。
「兄貴、これなら俺たちでもやれそうっすね!」
大輔が笑顔で言う。
「でも、油断しちゃダメだよ。」
朱華音が慎重に付け加える。
「その通りだ。初めての仕事だし、しっかり準備しよう。」彼も同意した。
三人は早速、護衛対象の商人と渋谷で合流し、出発の準備を整えた。次の街までの道中、果たしてどんな試練が待ち受けているのか――新たな冒険が、また一つ始まろうとしていた。