第018話「決戦の幕開け、血塗られた罠」
ついに決勝トーナメントが開催された。
渋谷アリーナの中央には巨大なリングが設置され、周囲を取り囲む観客たちの熱気が渦を巻いている。
出場チームは全16チーム。
各地域から勝ち上がってきた猛者たち、名を轟かせるストリートファイターたち、そしてプロ崩れの戦士たちが一堂に会していた。
その中でも注目を集めていたのは
・彼、朱華音、イーサンのチーム
・デッドショット・ジャクソン率いるポール・レオーニのチーム
運命のトーナメントが、今、始まる!
1回戦は、地方のアンダーグラウンドファイターたちのチームだった。
イーサンが豪快に先陣を切り、圧倒的なパワーで一撃KO。
朱華音は高速のカウンターで相手を翻弄し、彼はボクシングスキルを駆使して堅実に勝利をもぎ取った。
2回戦では、元プロ格闘家たちの集まったチームと対戦。
技術と経験を活かした老獪な戦い方に苦戦するが、イーサンの強引な突破口と、彼と朱華音の連携プレーで打開。
スタミナ勝負に持ち込んで、ギリギリで勝利した。
準々決勝の相手は、トリッキーなカポエラ戦術を使うブラジル系チームだった。
奇抜な動きで翻弄されかけたが、冷静にパターンを見切った彼が突破口を開き、イーサンが力任せにねじ伏せた。
そして迎えた準決勝。
対戦相手は、なんと小深山の元門下生たちで構成されたチームだった。
「へぇ、小深山のおっさん、まだこんなやつらを育ててたんだな。」
相手チームのリーダーが嫌味たっぷりに言い放つ。
「今日こそ、俺たちがオヤジを超えるところを見せてやるよ!」
小深山は静かに腕を組み、無言で睨み返しニヤリと笑った。
試合が始まると、彼ら元門下生たちは連携が非常に巧みだった。
一人が仕掛け、別の一人が裏を取る、そんな連携プレーを繰り返し、彼ら3人を苦しめる。
イーサンが押され、朱華音もスピードで翻弄される。
彼自身も、相手の間合いを読まれる場面が続く。
「……さすがにやりづらいな。さすが元小深山さんの門下生、、、」
彼が汗をぬぐいながら呟く。
しかし、イーサンが気合一閃、渾身のラリアットで一人を吹き飛ばすと流れが変わった。
「なーに!こいつらは俺がよく知ってる!大したこと無いからついてこい!」
朱華音は冷静にカウンターを狙い、次の一人を仕留める。
最後に残ったリーダー格を彼が迎え撃ち、ボディへの連打からの渾身のストレートでフィニッシュ!
試合後、元門下生たちは悔しげにリングを去り際に、小深山に向かって吐き捨てた。
「オヤジ、次は絶対に潰してやるからな!イーサンてめぇ、、なぜいやがる?」
小深山は微動だにせず、ただ静かに言った。
「鍛え直してこい。」
つづけてイーサンも話す。
「ちょっと野暮用があってな」
こうして苦戦を強いられながらも、彼らは決勝への切符を手にした。
そして決勝戦。
ついに因縁の相手、デッドショット・ジャクソン&ポール・レオーニのチームとの対戦が決まった。
アリーナの空気が一段と張り詰める。
リング上に立つジャクソンは、不敵な笑みを浮かべながら彼らを見下ろしていた。
「よう、待ってたぜ……ブラザー。」
彼らもまた、静かに闘志を燃やしていた。
決勝戦開始のゴングが鳴る前——
舞台裏では、ポール・レオーニが運営スタッフらしき男に分厚い封筒を手渡していた。
「例の3人の控室の水に細工しろ。試合前に飲ませるんだ。」
「へい!」
スタッフは小さく頷き、控室へ向かった。
そして、3人のテーブルに置かれたペットボトルの水に、目を盗み無色透明の毒素が注ぎ込まれていった……。
何も知らずに彼らは試合前、喉を潤すためにその水を飲んでしまった——。
そして、ゴングが鳴り、戦いは始まった——
だが、その直後、異変が起きた。
「っ……!? 体が……重い……?」
彼も朱華音も、そしてイーサンも、妙な違和感を覚える。
足がもつれ、パンチにキレがない。
「……おかしい!」
すぐに小深山がセコンドから叫んだ。
「運営!水に細工されてるぞ!試合を止めろ!」
しかし、運営スタッフたちは顔をそらし、誰も動こうとはしなかった。
小深山がさらに詰め寄ると、責任者らしき男が冷たく答えた。
「証拠がない限り、試合は続行です。」
その態度に、小深山はすぐ悟った。
(……運営も買収されてやがるな。)
リング上を睨みつけながら、小深山は拳を強く握った。
「水だ!! 水に細工された可能性がある!!」
リング上にはデッドショット・ジャクソンと並び立つポール・レオーニがいた。
ポールは不敵にニヤリと笑っていた。
デッドショット・ジャクソンがニヤリと笑いながらポールに囁いた。
「おい、ブラザー……何をやったんだ?」
ポールは肩をすくめながら、にやにやと笑って答えた。
「ちょっとだけ、悪さしたのよ。確実に殺るために、ね。これがアメリカンギャングのやり方ってやつさ。」
(くそ……不正か……!!)
相手チームは異様なスピードで襲い掛かってくる。
このままでは、完全に押し切られる——。
その時、彼の脳裏に、かつてグレゴリーから渡された小さな手榴弾型の道具がよぎった。
(あれは非常用だと言ってた……!今しかない!!)
彼は腰から手榴弾型の小道具を取り出し、リングの中心に向かって投げた。
「みんな、目を閉じろ!!」
——ボンッ!——
閃光と同時に、白い煙がリングに立ち込める。
この手榴弾型の小道具は、かつてグレゴリーから渡された特別な品だった。
中には高濃度の閃光成分と煙幕ガスが詰め込まれており、視界を奪い一時的に行動不能にする効果がある。
致命的な攻撃は禁止されているKENKAルール内でも、試合を立て直すための合法的なアイテムとして認められていた。
観客たちがざわつく中、相手チームも一瞬怯んだ。
続けざまに、もう一つ——稲妻の刻印が施された特別な手榴弾も取り出した。
「これも食らえ!」
リングに稲妻のような閃光が走り、爆音とともにさらに強烈な眩い光がアリーナを包んだ。
「みんな、目を閉じろ!!」
煙の中、彼ら3人は一気に体勢を立て直した。
しかし彼の様子が少し変なこと朱華音が気づく
「お、おい!大丈夫なの???」
その隙にイーサンが先陣を切り、朱華音が援護。
彼の全身に稲妻が走り、明らかに何等かの力を覚醒している。
「俺は絶対に負けねえ……!!うぉぉぉぉぉぉぉ。」
彼の拳が、ジャクソン目掛けて放たれる。
拳と拳、魂と魂がぶつかる、最終決戦が今、幕を開ける!!




