表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/137

18. 世界を作る 十一

「大変! 早く完成させなきゃ」


 ゼラチンだって、オレンジジュースに加えたら、早くかき混ぜないと均一に固まってくれません。きっとこの世界を作るビーカーも同じなのでしょう。


「でもそんなこと言ったって、光の液体がまだ集まってないし」


 そう言っている間にも、世界を作るビーカーからは、炭酸水のような無数の小さい泡が一斉に湧き出し始めました。


 かたや、光の液体が入っていたビーカーには、相変わらず底の方にうっすらと液体が溜まっているだけです。


「光の玉にお願いしよう。光の玉さん、お願い、ビーカーの中に入って」

 みいなは光の玉を手で捕まえようとします。ですが、光の玉は蛍のようにふわふわと手をすり抜けていってしまいます。


「ええい! 光よ、いでよ!」

 にいなは大きな声を出して、光のビーカーに手をかざします。ですが、光の玉もビーカーも、うんともすとも言いません。

 にいなは気恥ずかしげに手をこっそりと引っ込めました。


 遊んでいるような、からかっているような光の玉の動きに、みいなはついムッとして、ママのような口調で言いました。

「いい加減にしなさい。あなたたち、そんなことしてると、ここにあるビーカー全部捨てちゃうんだからね!」

 これは、ママがよくお片付けをしないみいなとにいなに言うセリフです。『いい加減にしなさい。あなたたち、お片付けしなかったら、ゲームもぬいぐるみも全部捨てちゃうんだからね!」と。


 みいなの声にびっくりしたのか、光の玉は一斉に光のビーカーの中へ入っていきました。

 みるみるうちにビーカーが満たされて、満杯になります。ですが、光の玉はまだビーカーの中へ入ろうとします。

「もういいよ、ちょっと、やめて、やめて」

 みいなは慌てて光のビーカーを胸に抱えます。


「すごいじゃん、みいな! こんなにいっぱい集まった。早く入れよう」

 こぼさないように二人でしっかりビーカーを持って、世界のビーカーの中に注ぎます。

「あとどれくらい?」

「あともう少しでございやす。オーライ、オーライ、ストップ! いい塩梅ですぜえ」


 二人は慎重に液体を注いでいき、目盛りはぴったり990mlになりました。


「あと必要なものってなんだっけ?」

「ここには『1%のきらきらしたもの』って書いてあるですぜえ。あっし、ちょっと読めるようになって来たですぜえ」

 平助は指示書を見ながら嬉しそうに鳴きます。


「きらきらしたものかー。きらきらしたものは部屋の中にたくさんあるけど、みんな大きいね」

 部屋の中には、大きなエメラルドのついた王冠や、ダイヤモンドが散りばめられている剣や、黄金のゴブレットや、白銀の鏡があります。ですが、どれもこれもサイズが大きくて、世界のビーカーに入れたらすぐに溢れてしまいそうです。

 小さいものはないかと部屋中を探しましたが、見つかりません。三人は途方に暮れてしまいました。


「あのお……二人さん……」

 平助が気まずそうに二人の前に止まりました。

「どうしたの?」

「あの……あっしが、にいなさんから取っちまったきらきら石なんですが、一個、カラスの女王様のところからくすねてきたんです。取っちゃって、本当にすいやせんでした」

 平助は羽の間からにいなのきらきら石を取り出しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ