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3. フクロウと冒険 二

 その時です。


  とつぜんバサバサという大きな音がしました。にいなはびっくりして、思わずみいなにしがみつきました。

 その勢いで、みいなは尻餅をついてしまいました。

「何するの!」

「ごめん! でもなんか落ちてきた!」


 バサバサと二人の目の前で音がします。二人は驚いて前を向きました。


 二人の目の前に立っていたのは、大きな鳥でした。

 白っぽいような、灰色っぽいような色で、濃い色のしましま模様の鳥です。

 頭には耳が生えているように見える羽がついています。


「あー! フクロウだ」

 にいなは嬉しそうに鳥を触ろうとします。みいなは、あわててにいなのコートの後ろをつかみました。


「フクロウなわけないじゃん! ここにフクロウは住んでいないよ! 変な鳥は触っちゃだめってママに言われてるでしょ!」

 みいなはにいなを叱ります。


「そうなの? なんで? かわいいのに」

「わかんないけど、バイキンがいるからって」

「そうじゃなくて、フクロウじゃないの? この鳥」


 にいなは、目の前の鳥を触りたそうに手を出しています。

 みいなは、にいなのコートをもう一回引っ張りました。


 にいなは、『好きなものにどんどん近寄っていくタイプ』だとパパが言っていました。

 そして、みいなは『石橋いしばしを叩いて歩くタイプ』なんだそうです。


 それって悪いことなのでしょうか?

 にいなの気持ちが、みいなにはよくわかりません。


 だって、近寄っていって、引っ掻かれたり、噛まれたりしたらどうするの?


 クラスの子に『遊ぼう』って言って『イヤ』って言われても、次の日にはまた声をかけてるし。

 あの子たちはにいなとは遊びたくないんだよ、諦めなよ、と何度言っても、にいなは聞きません。


『明日になったら遊んでくれるかもしれないし』

 そう言ってまゆ毛を下げながら笑うにいなを見ていると、みいなは怒りたいような、泣きたいような、なんとも言えない気持ちになります。


 その時のことを思い出して、みいなは大きな声で言います。

「フクロウかどうかなんて、どうでもいいし! もう帰るよ!」

 みいなはにいなの手をつかんで歩き出そうとしました。


「でも、」

 にいなは鳥を見たまま、動きません。


「でもじゃない! 今まで見たことないもん。フクロウじゃないったら!」


「今までって、私たち引っ越してきたばっかりでしょ」


「そうだけど! フクロウはもっと寒い所に住んでるの!」

 前に動物園に行った時に、フクロウのせつ明にそう書いてあったことを、みいなは覚えています。

『シマフクロウ』というしゅ類のフクロウは、寒いところに住んでいて、魚を食べて暮らしているのだそうです。でも、森が切り崩されて、住むところを失ったフクロウは、どんどん数が少なくなっている、と書いてありました。それを読んで、みいなは悲しくなりました。


 保ご活動の一環で、動物園で大切にされているのだとパパは言いました。これ以上数が少なくならないように、動物園の人がお世話をしているのだそうです。

 大切にされているのはわかるのですが、この子は森の中で暮らしたいんじゃないかな、と思ったのです。


 数が少ないと、フクロウも仲間はずれにされちゃうのかな。


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