表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/137

18. 世界を作る 三

「ジャーン。みいな、平助、どう? 私、科学者みたいでしょ!」

 にいなはくるりと一回りしてみます。にいなの想像だと、裾がひらりと舞って華麗(かれい)に回れるはずでした。

 でも、回ってみたら、裾を踏んで転びそうになりました。慌てて近くにあったタンスに手を伸ばします。にいなは、あたかも最初からそこに寄りかかるつもりでした、と言わんばかりにタンスに肩を預けました。ふふっと余裕の笑みを浮かべてみましたが、思いのほか勢いよく肩が当たってしまったので、肩がじんじんします。にいながぶつかった衝撃で、タンスの引き出しが一つ、飛び出てきました。


 その様子を見ていたみいなは、軽くため息を吐くと、引き出しの中を覗いてみました。

 中には救急隊員が付けていそうなマスクやゴーグル、ぺらぺらしたグローブなどが入っていました。

「実験する時に身に付けるものみたいだね」

 みいなは青色のグローブを手に取ってみました。つるつるのグローブは、テレビでお医者さんが手術をする時に付けていそうなものでした。


「でしょう? 私、ここに入ってると思ったんだよね」

 にいなは痛みが引いてきた肩をそおっとタンスから離して、さも当然といった風に腰に手を当てました。ついでにさりげなく、肩を撫でてみます。

 いっ、痛くないもん、とにいなは心の中で呟きました。


 みいなはそんなにいなをチラリと見て、器用に片眉を上げました(時々ママがにいなママにやる仕草です)。ついでに、他の引き出しも開けてみます。

 聴診器(ちょうしんき)注射針(ちゅうしゃばり)、ドリルやペンチのような器具(歯医者さんが使うような道具です)が入っていて、みいなは思わず仰け反りました。

 この引き出しは見なかったことにしよう、とみいなはそっと引き出しを閉じようとしましたが、にいなが身を乗り出してきます。

「みいな、見て! 注射があるよ! こっちには聴診器もあるね。お医者さんごっこができるよ!」

 注射器を手にしそうな勢いのにいなを、みいなは慌てて遮りました。そして、「にいな、科学者になるんじゃなかったの? ほら、このグローブ付けて」と、話を逸らすように、にいなにぺらぺらのグローブを渡しました。


「ゴーグルも付けた方がいいですぜえ。液体が目に入ったら大変ですぜえ」

 平助は引き出しからゴーグルをくちばしでつまんで、二人に渡しました。


 目にはゴーグル。

 手にはグローブ。

 口には顔の半分がすっぽり隠れる大きさのマスク。

 白いコートを羽織って、科学者の誕生です。


 二人は真剣な顔で、実験道具が並ぶ机の前に立ちました。


「ごほん。にいな君、それでは実験を始めるよ」

 みいなは真面目な顔をして、低い声で宣言します。

「はい。教授。ってなんで私が助手の役なの? 私も教授やりたい!」

 にいなは頬を膨らませました。


 二人の頭に浮かんでいるのは、マッドサイエンティストのアニメです。教授と助手が次々に世紀の大発明をして、悪い奴をやっつけていくお話です。


「でも、にいな、計算できるの? 1000mlの世界、一人で作れるの?」

「ええ。できないけど……」

「では君は助手だ。それではにいな君、まず闇を作るところから始めるとしよう」

「わかりました、教授。どうしましょうか?」

「……それはいい質問だね、にいな君。君はどうしたらいいと思うかね?」


 実はみいなには、まったくいいアイディアは思い浮かびません。なので、にいなに聞いてみることにしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ