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17. 祭壇の部屋 四

「へぇ。おかげさんで、ピンピンしてるですぜぇ。あの通路はおっかなかったですけど。お二人さんは大丈夫でやしたか?」


 みいなはぴくりと肩を揺らしました。

 少しみいなの顔色が悪い気がしたにいなは、慌てて言いました。


「大丈夫だよ! あ! もしかして、さっき通路でパサパサしてたの、平助?」


「そうでございやす。フルアーマーたちの目をぐるんぐるんに回してやって、あっしは急いでみなさんの後を追ったんですぜぇ。そしたら、おっかない暗闇に包まれちまった。もう一歩も前に進めねぇと諦めかけたところで、前からどでかい叫び声が聞こえてきたんですぜぇ。あっし、びっくり仰天、驚きやして、天井に頭を思いっきりぶつけたんですぜぇ。痛かったですけど、おかげで目が覚めた。悪い気が、パァッと晴れたような気分だったんですぜぇ。そしたら今度は、なんとも楽しそうな歌が聞こえるじゃあないですか。あっしはその声に導かれるように、ここまでやってきたんですぜぇ」


 みいな二人は、なんとも気恥ずかしい気持ちで平助の話を聞きました。

 にいなは、ほらやっぱり、校歌はきくでしょ? とみいなを見ました。


「それであっしは暗闇を抜けたんですが、ふっくんさんは一体どうしちまったんですか?」

 平助は飛び立ってふっくんの前に降り立つと、ふっくんのお腹をくちばしでちょいとつついた。


「いかんですねえ、こんな大事な場面に寝ちまうとは。ふっくんさんはまだまだ子どもですねぇ」

 あっしがついてないとダメですねぇ、と平助は肩をすくめました。


 なんと言ったらいいかわからなかった二人は、曖昧に笑いました。


「にゃぁん」

 上の方で声がしたと思ったら、猫が通路から飛び降りて、にいなの頭の上に座りました。


「猫ちゃん、良かった、無事だったんだね。途中で会えるかと思ったのに会えなかったから、迷子になってるのかと思ったよ」

 にいなは頭の上に座っている猫のお腹を撫でました。

 みいなは猫をじっと見つめました。


「ね、にいな。やっぱりこの猫こそ、モンスターかもしれないよ」

「なんでそんなこと言うの? 猫ちゃんは猫ちゃんだよ」


「でもさ、この猫が案内するところで変な目にあってるんだよ。おかしいじゃん。怪しいよ」

 みいなは目を細めます。

「そんなことないよ。ねー? 猫ちゃん。きっとこの猫ちゃんは迷ってダンジョンに入って、外に出れなくなっちゃったんだよ」


 にいなは猫を持ち上げてお腹に抱きかかえます。赤ちゃんみたいに抱っこすると、猫はぐるぐると気持ちよさそうに喉を鳴らしました。


 みいなはまだ怪しげな目で猫を見ていましたが、やがて諦めたように部屋の中を見渡しました。


 部屋の奥にあるのは何かの祭壇のようです。

 ゲームの教会にあるような金色のピカピカした装飾品がみいなの目につきました。

 祭壇の右側には宝石がびっしりと埋め込まれた王冠があります。

 左側にはみいなの頭より大きな透明な水晶や、ピンク色に光るサンゴ礁が飾られています。


 祭壇の台の上には、重そうな箱が置いてあります。

「宝箱だ」

 みいなは宝箱に近づきました。

 海賊船に乗っていそうな木でできた大きな箱で、蓋はかまぼこのような形になっています。


 みいなはワクワクしながら宝箱を開けようとしましたが、ガシャンという音で突っかかって、宝箱は開きません。よく見ると、南京錠がかかっていました。このせいで開かないようです。

 大きくて重い鉄製の南京錠は、引っ張ってみても、叩いてみても、うんともすんとも言いません。


 にいなもみいなの横から宝箱を覗き込みました。にいなは宝箱を持ち上げようと両手で宝箱の端を持ってみましたが、重くてうんともうすんとも言いません。

 にいなのお家にある車くらい重そうだなとにいなは思いました。


 しばらくカチャカチャと南京錠をいじってみましたが、額に汗が出るほど力を込めても、宝箱は開きそうにありません。

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