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16. 抜け道と姫の試練 十

「でも……」

 みいなは光から目をそらして、今通ってきた暗闇の方を見ました。

「私なんかにできるわけないし」


「みいな。なんで? 私たち二人なら、ぜったいにできるよ。だって、私が学校で嫌なことがあった時も、先生に叱られた時も、ママに叱られた時も、みいながいてくれるでしょう。だからがんばれるんだよ。みいながいなかったら、私一人ぼっちだよ」

 にいなは一生懸命みいなに訴えかけます。


「一人ぼっちではないでしょ。ママだってパパだっているし」


「違う、そう言うんじゃなくて。みいなは特別なの。お姉ちゃんだったり、妹だったり、友達だったりするの。ママとパパとは違うの!」

 にいなは立つことができていたら、地団駄を踏みそうな勢いで言いました。


「妹って。私の方が年上なんだけど」

 みいなは口をとんがらせました。


「でもみいな、時々すごく子供っぽいことするじゃん。今とか拗ねて、いじけて、バカみたい」

 にいなの放ったセリフに、みいなはカチンとしました。


「そっちだって大声出して、ワンワン泣いて、赤ちゃんみたい」

 みいなも負けずと言い返します。


「それは私の声が大きいからだもん。みいなだって本当はもっと大きい声出るのに、いつもボソボソ喋って、バカみたい。そういうの中二病って言うんだよ。この前、テレビでやってた」

 にいなは口元に手を当ててぷぷっと笑います。


 みいなはますますムカッとしました。

「そんなんじゃないし。私はただ、なるべく目立たないようにしてるだけだし。大きい声だって出るんだから。わぁぁぁぁー!!!」

 みいなは自分が出せる一番大きな声で叫びました。

 狭い道の中にみいなの声がこだまします。


 にいなは思わず耳を塞ぎました。

 ふっくんは警戒するように耳をピンと立てています。

 もっとやれというように、光の玉はチカチカと瞬き始めました。


「みいな、うるさいっ!」

 にいなも大きい声で叫びます。


「うるさいって、そっちの声の方がうるさいんだから! ああああああ!!」

 みいなはさらに大声を出します。


「みいなのバカーーー!!」

 にいなも叫びます。


 二人は喉が痛くなるほど大きい声で叫びました。喉がヒリヒリして、くらりと頭が揺れます。

 息が切れるまで叫んで、二人はぁはぁと肩で息をしました。そして目を合わせると、笑い出しました。


「みいな、うるさい。耳が壊れるかと思った」

「そっちこそ、うるさい。頭が割れるかと思った」


 さっきまで怒っていたかと思ったら、いきなり大声で叫び出して、今度は笑っている二人を見て、ふっくんは目を白黒させています。

「人間はよく分からないんだぞ……おいら、偉大なフクロウになるのは、もうちょっと時間がかかると思うんだぞ……」

 ふっくんはぼそりと呟きました。


 二人は手をつなぐと、光が漏れている行き止まりの方を向きました。

「歌おうか」

「うん」

 二人は大きい声で校歌を歌いました。

 歌うにつれて光の玉がどんどん集まってきて、行き止まりの壁は小さくなっていきます。

 それはやがて大きな光となって、目の前に道が開きました。

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