16. 抜け道と姫の試練 七
やっぱりこの暗闇はどこかおかしい気がします。
ただ真っ暗なだけじゃなくて、空気が重くのしかかってくるようです。天井も、壁も、床も、少しづつみいなを押し込めてくるように感じます。だから、気持ちがどんどん沈んでいくのです。
進めば進むほど、心が重くなっていったのをみいなは感じていました。それでも動いていた時はまだ大丈夫でした。ふっくんが話してくれたことを考えて、みいなもがんばろうと思いました。
でも、行き止まりで止まってしまった今、みいなは心の重さをどうすればいいか、わからなくなってしまいました。
なんで私はこんなところで、こんなことをしてるんだろう?
早く家に帰ってゲームをしたい。きらきらも、光も、もううんざり。
みいなの大変さよりも、ふっくんの方が大変だったというのは分かります。
でも、でも、私だって、いろいろ大変なんだから。
お家があるのに? ママもパパも、にいなもにいなの家族もいるのに?
でも、友だちはいないし。
ふっくんはそれでもがんばって生きてきたんだよ?
そうだけど。じゃあ、私の気持ちはどうなるの?
みいなはぐるぐると自問自答します。それでも答えは出ません。
早くこんな暗いところから出たいと思うのに、明るいところに出るのが怖い自分もいます。
だって私は、にいなみたいに明るくないし。こんな酷い顔しているの、見られたくない。
「みいな、負けちゃダメだ。これは星の卵の試練なんだぞ。おいら、みいなの気持ちはよく分かるぞ。今までの辛いことを思い出しちゃったんだな。ここは普通の暗闇とは違うんだ。だから気持ちが引っ張られちゃうんだぞ。でも、負けちゃダメだぞ。光の姫の誓いは覚えているか?」
「誓いって、あれ? ふっくんが入ってきたときにお姫さまにお願いしたやつ?」
「そうだぞ。
『闇を打ち破る光をお与えください。
先に進む勇気をお与えください。
私は光と共に進む者。
どんな困難にもくじけないことを誓いましょう。
どうか、私を助けてください』
光と共に進むには、闇を打ち破らないといけないんだぞ」
「でも私はそんなの誓ってないし」
みいなは不貞腐れながら言いました。
「そうだけど! でも、姫の遺跡に入れるのは、闇を打ち破りたいと願った者だけなんだぞ! みいなだって、そう思ってるはずだぞ!」
「そんなこと思ってないし。そんなのどうでもいいし」
ママのことも、にいなのママのことも大好き。
でも二人が普通の人だったら、私だってこんなにいじめられることもなかったのに。
普通になりたい。
みんなと同じがいい。
この髪の毛も、この目の色も大嫌い。
「ねえ、もう帰ろうよ。怖いよ、こんなの」
みいなは顔をしかめました。
「でも、だって、きらきらしたものを取っていかないと、私のきらきら石を返してもらえなくなっちゃう。女王様にきらきらしたものを渡さないと」
「いいじゃん。あんなガラクタ。ただの石でしょ」
「ただの石じゃないもん。きらきら石だもん」
「一個ふっくんが取り返してくれたんだからもういいでしょ! にいなのわがまま! 私、きらきらしたものなんて大嫌い!」
みいなは大きな声で叫びました。
「みいな……」
にいなは悲しそうにみいなを呼びます。




