16. 抜け道と姫の試練 六
気のせいかな?
にいなはそう思いました。
ずっと首を上げて四つん這いで歩くと、首が痛くなります。下を向いて進みながら、時々チラチラと前を確認します。
やっぱり先に光があるような気がします。
にいなは光に向かって手を勢いよく伸ばしました。ですが、手を思い切りぶつけてしまいました。
え、ちょっと待って!
「ストップ! ストップ! 止まって!」
にいなは叫びました。
にいなは止まろうと思いましたがすぐには止まれず、壁に当たってしまいました。
そのすぐ後ろにいたみいなも、にいなに体当たりしてしまいました。その後はふっくんが、みいなに体当たりします。
「痛い! にいな、なんでいきなり止まるの!」
みいなは怒りました。
「だって! この先、行き止まりなんだもん! ほら、ちょっと触ってみてよ!」
にいなはみいなの手をぎゅっと掴んで、行き止まりの壁に触らせました。
「本当だ……どうしよう。道が曲がってるとか、ない?」
四方八方を手で触ってみますが、道は完全に揺さがっているようです。
「うーん、どうしよう。あ、そうだ。にいな、カティア出してよ、さっきみたいに」
「無理だよ。ここには光の玉もいないし」
「ふっくん、どうすればいい?」
「うーん、こういう扉は『開けゴマ!』って呪文を言ったら開くものなんだぞ」
「それだ! じゃあ言ってみよう。せーの、開けゴマ!」
二人は大きな声で呪文を唱えましたが、何も起こりません。
またビューっと大きな風が吹きました。それまでパタパタ聞こえていた音がパタリと止まります。
「ねえ、なんで――」
「しっ!」
みいなは話しかけようとしたにいなを止めます。
身じろぎせずに耳を澄ませても、もう音は聞こえません。
「どっかに行っちゃったのかな?」
「それとも、もしかしたらここは一本道じゃなくて、どっかに曲がるところがあったのかも」
「おっ、おいら、ちょっと見てくるぞ!」
ふっくんは裏返った声で言いました。
「でもふっくん、見て。ここ、ちょっと明るいんだよ」
にいなは行き止まりの壁を指でなぞりました。目の前の壁からは、わずかに光が漏れているのです。
「きっと、この先は明るいんだよ。きっと光の玉もあっちにいるよ。ねえ、また校歌を歌おう、みいな」
にいなはライオンの扉をくぐった時のことを思い出しました。
「ええ、いやだよ。私、あの歌嫌いなの。歌うなら、にいな一人で歌ってよ」
みいなは鼻にしわを寄せます。
「ダメだよ! さっきだって、二人で歌ったから光の玉が現れたんだよ! ねえ、もう一回歌おうよ」
「うるさいな! さっきは、にいなが大きい声で歌ったから光の玉が現れたんだよ。一人で歌ってよ!」
みいなは、なんで自分がこんなに怒っているのかわかりませんでした。
でも、さっきふっくんが仲間はずれにされていたという話を聞いてから、心がざわざわするのです。
このダンジョンに入ってから、いつもみたいに学校のことを思い出すことは少なかったけど、クラスメイトのこととか、先生のこととかをじわじわと思い出してしまったのです。それで、みいなはどんどん嫌な気持ちになってきました。




