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16. 抜け道と姫の試練 四

「ふっくん……」

 にいなとみいなの胸はいっぱいになります。


 にいなはボロボロと泣いています。


 みいなは、こんなときに何て声をかけたらいいかわからない自分が歯痒くて仕方ありません。


 みいなは、ふっくんの気持ちがよくわかりました。

 周りと違うから仲間はずれにされるなんて、どれだけ悲しいことでしょう。

 自分の怖いものを周りの人にわかってもらえないなんて、どれだけ辛いことでしょう。

 みいなはふっくんの気持ちがよくわかりますが、ふっくんはみいなよりもっと大変な目に遭ってきているのです。「大丈夫だよ」なんて言えないと思っても、他にかける言葉が見つかりません。

 みいなが声をかけようとしたところで、ふっくんは独り言のように続けました。


「ああ、なんで今、こんなこと思い出したんだろう。ここには、にいなもみいなもいるのにな。なんだか巣に取り残された時のことを思い出しちゃったんだぞ。おいらの父ちゃんは、おいらたちのご飯を狩りに行って、猟師に撃たれたんだ。母ちゃんは、電線に感電しちゃった。どっちも冷たい夜のことだった。ここみたいに、風がビュービュー吹いてて……空気の感じが少し似てるのかもしれないな」

 ふっくんは寂しそうに呟きます。


「さっき、二人のこと、カラスの軍団に囲まれてたのに、助けに行けなくてごめん。本当は木に落ちてから、すぐに目が覚めたんだ。でも、森の中が真っ暗で、カラスたちも真っ黒で、おいら怖くなって。木の一番高いところで、じっと息をひそめていたんだ。おいらは夜に目がよく見えるから、二人がカラスの女王様に脅されてるのもよく見えていたんだぞ。あの時助けに行けなくてごめんよ。早くしなきゃって思えば思うほど、今みたいに体が動かなくなっちゃうんだ。おいらが冒険に誘ったのに、怖い思いをさせて本当にごめん」


 ふっくんの絞り出すような声に、二人の胸は痛くなりました。


「でも! でもふっくん、私たちのことを助けに来てくれたでしょう! ありがとう。私たちだけじゃ、フルアーマーからは逃げられなかったよ。それに、なぞを解いてステンドグラスを壊したんでしょう。すごいよ! ふっくんは世界で一番賢くて偉大なフクロウだって、私は思う」

 にいなはぜったいにそうだよ! と大きな声で言いました。


 こういうときに素直に声をかけられるのが、にいなのいいところです。にいなが先に言ってくれたことに少しほっとしながら、みいなは詰まった喉からできるだけ大きな声を振り絞ります。

「そうだよ! ふっくんは世界一だよ!」


  「あれは平助が一緒についてきてくれたからだぞ。おいらだけだったら、この遺跡の中に入る勇気は出なかったかもしれない。おいら、入り口のライオンに何度も吠えられて、入り口から入るのは諦めちゃったんだ。それで、遺跡の周りをぐるぐるしてたときに、平助を見つけたんだ。なんとか中に入ろうって何度も何度も頑張ってる平助が怖くないって確認してから、やっとおいら、声をかけたんだ。おいら……弱虫なんだよ」


「ふっくんも平助も、頑張ってくれたんだね。でも、ふっくんなら、ライオンのなぞなぞの答えはすぐにわかったんじゃないの?」

 みいなは首を傾げました。


「おいら、怖くてなぞなぞが書いてあるところまで近づけなかったんだ。ライオンは、すごく怒ってたんだぞ」

 ふっくんは弱々しい声で言いました。


「私が無理やりお花を食べさせちゃったからかも!」

 にいなは慌てました。


「あれはちょっとライオンが可哀想だったよね」

 みいなはなんとも言えない微妙な顔をしながらお花を食べたライオンのことを思い出しました。


「そんなこと言ったって! みいななんてすぐに諦めてたくせに!」

 にいなはぷくりと頬を膨らませました。


「まあまあ、二人とも。おそらくだけど、遺跡に入れるのは一つのパーティーだけなんだと思うぞ。だから、ライオンはおいらのことを警戒したんだ」

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