16. 抜け道と姫の試練 三
「そっか。じゃあふっくん、前に来る?」
みいなは狭い道の端に避けて、ふっくんを通そうとしました。
ふっくんはみいなの横をなんとか通ろうとしますが、通れません。
「ふっくん、もう少し小さくなれないの?」
みいなは聞きます。
「おいら……おいらも、そうしたいとさっきから思ってるんだけど……体が言うことを聞かないんだ……」
ふっくんは震える声で言いました。
「大変! ふっくん、どこか怪我してるの?」
みいなとにいなは足を止めて、慌ててふっくんの方を向きました。
「怪我はしていないんだけど、おいら……おいら、暗闇が怖いんだ……」
ふっくんは消えそうな小さな声でつぶやきました。
「みんな暗いのは怖いよ。同じだよ。ふっくんだけじゃないよ」
みいなは励ますように言いました。ふっくんが身じろぎする音が聞こえます。
「同じじゃないぞ。みいなもにいなも人間だろう。人間は昼間に行動して、夜は眠るんだ。でもおいらたちフクロウは、夜行性の動物だから、夜に狩りをしたり、友だちと遊んだりするんだぞ。でもおいら、おいら……暗いところが怖いんだ。それで仲間にもいじめられて……暗闇が怖いフクロウなんて聞いたことがないって。こいつと遊ぶのはやめようぜって言われて……仲間はずれにされたんだ」
「おいらだって! 暗闇でも、一羽じゃなきゃ大丈夫なんだぞ! ずっと怖がってるだけじゃないんだぞ! 誰かと一緒だったら大丈夫なんだ。でも……でも、単独で狩りができないフクロウなんて仲間じゃないって、そんなんじゃ、ろくなフクロウにはなれないって言われて……それで旅に出ることにしたんだ。おいら、この世界で一番賢くて、強いフクロウに、ぜったいになろうって決めたんだ」
ヒューヒューと浅い息を吐きながら、つっかえつっかえ、ふっくんは声を絞り出します。
何か声をかけてあげようとみいなが息を吸うと、それに被せるようにふっくんは続けました。
「分かってるぞ……おいらみたいなやつが、偉大なフクロウになんかなれるはずはないって。でも、諦めたくなかったんだ。でも、どこへ行ったらいいか分からなくて……そんな時に、星の卵のうわさを聞いたんだ。星の卵があれば、おいらでも闇に打ち勝てるんじゃないかと思ったんだ」
「星の卵を見つけなくてもいいんだ。星の卵が隠されているところには、青い鳥と姫をモチーフにしたアーティファクトがあると言われているんだぞ。だから、その場所に辿り着けたら、おいらも勇気をもらえるんじゃないかと思ったんだぞ……それなのに……おいら、こんな時にもこんな情けないフクロウなんだ……」
ふっくんは泣きそうな声で、ぽつりぽつりと話します。
にいなとみいなはじっと耳を傾けました。ふっくんの話していることは、ふっくんにとって、とても大切なことだというのがわかるからです。
「おいら、いろんなところへ行ったんだ。世界中を旅して、いろんなものも見つけたし、いろんな動物にも会った。でも、夜にじっとしていると、どんどん怖くなっていくんだ。このままずっと、一羽ぼっちだったらどうしようって。このままどこに行っても、星の卵なんて見つからないんじゃないかって」
「真っ暗なのは怖いから、明るいところに行きたくなるんだ。人間の近くに行けば絶対に明るいからと思って近づくんだけど、そうすると今度は捕まえられそうになる。それもとても怖いんだ。捕まえておいらのことどうするんだろう? 食べるのかな? それとも剥製にされちゃうのかな? って」
「暗闇も怖くて、人間も怖くて、でも他の小さい動物には怖がられて……小さい動物は、おいらに食べられちゃうって思うから。おいら、にいなとみいながもし子供じゃなかったら、ぜったいに声なんてかけてなかった。ごめんよ。二人が子供だったから、いざとなれば逃げられるから。だから声をかけたんだ。偉そうなことばっかり言うのに、弱いフクロウで、ごめんよ」




