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16. 抜け道と姫の試練 二

 そのまま、どれくらい進んだかはわかりません。真っ暗な道の中には光の玉も届かないようです。手探りで地面を確かめながら、にいなは進んでいきます。

 指先まで手はかじかんでいて、感覚がなくなりそうです。そのままちぎれてしまいそうなほど、指先はうまく動きません。

 怖くて、怖くて、このままうずくまりたい気持ちになります。

 進んでも進んでも先が見えない道にずっといると、本当に進んでいるのか、もしかしたら止まっているのか、そんなこともわからなくなってきます。

 それに、風が吹いているからといって、どこかに繋がっているかなんてわかりません。この先はただの行き止まりかもしれないのです。


 でも、せっかく平助が切り開いてくれた道です。ここで止まるわけにはいきません。


 でも……でも……


 平助のことを考えると悲しくなって、にいなは涙声で「どうしよう……平助が死んじゃったら……」と小声で呟きました。

 小さいはずのその声は、狭い道に驚くほどよく響きました。自分で言った言葉に驚き、そして言葉にしてしまったからこそ、それが本当になってしまう気がして、にいなはどうしたらいいか分からなくなってしまいました。

 にいなの目には、どんどん涙があふれてきます。


 言葉の重さに、にいなとみいなの胸は重くなりました。


「まだわかんないよ。フルマーマーから逃げ切って、この中に入ってくるかもしれないし!」

 みいなはにいなを励ますように大きな声で言いましたが、その声は掠れています。うそっぽいと感じてしまうのは、みいな自身が信じきれていないからでしょう。


 だって、あんなに大きいフルアーマーが六人もいるんだもん。平助は素早く飛べるかもしれないけど、休めるようなところはどこにもなかった。

 そのうち力尽きて、落っこちちゃうんじゃ……

 フルアーマーに捕まって、八つ裂きにされたら……

 私たちのことを助けてくれたせいで……


 暗くて狭いところにいると、どんどん気持ちが沈んでいきます。床は冷たくて、壁も天井も冷たくて、手と膝の熱をどんどん奪い取っていきます。ときどき気まぐれに吹いてくる風が、みいなたちのことをからかっているように思えてきます。


 ぐるぐると頭に思い浮かぶのは、どれも悪いことばかりです。

 明るいことを考えようと思っても、ぜんぜん考えられません。


 このままずっと、この暗い道を進んでいくしかないんじゃないか、一生明るい場所になんて出られないんじゃないか、という気持ちになってきます。

 息がだんだん苦しくなってきます。

 泣いちゃダメだと自分に言い聞かせているのに、みいなの目には涙がたまってきます。ついに、一粒の涙がポロリと手のひらに落ちました。いつもよりしょっぱい涙は、拭っても拭ってもあふれ出てきます。四つん這いになって進みながら涙を拭うのは難しく、やがてみいなは涙を拭うことは諦めてひたすら前に進むことにしました。


 前にいるにいなからも、鼻水を啜る音と「ひっく、ひっく」という泣き声が聞こえてきます。


 ふっくんは二人の後ろをついてきますが、何も言いません。

 やがて、言葉を絞り出すようにふっくんは言いました。


「おいらも……おいらだって、平助を助けに行きたいよ。でも、こんな暗闇の中で、にいなとみいなを放り出すわけにはいかないんだぞ。おいらは賢いフクロウだから、暗闇には何が潜んでいるかわからないってことを知ってるんだぞ。おいらたちフクロウは夜行性の動物だから、夜になって油断している動物たちを獲物にするんだ。ああ、おいらが先頭に立てばよかったな。おいらは夜でもよく目が見えるんだぞ」

 そう言ったふっくんの声は、少し今までとは違う気がしました。でもきっとこの狭い道に音が響いているからだろうとみいなは思いました。

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