15. 光の姫 四
にいなとみいなは顔を見合わせました。
「うん、もうだいぶ、危ない目には遭ってるよ……」
みいなは半笑いで言いました。
「ここで諦めたらもったいないよ! ふっくん、私、隠し扉を見つけたの! 猫ちゃんが入って行ったの」
にいなは目をきらきらさせて言います。せっかくここまで来たのなら、その星の卵とやらを見てみたいと思ったのです。
「ああ! そうだった! にいな、なんでそれ、早く言わないの!」
「言ったじゃん! 私、ちょっと見てくるって言ったし! そしたらみいなが『一人で行っちゃ絶対にダメ』って言うから、私、待ってたのに!」
にいなは大げさに、お姉ちゃんモードのみいなの真似をします。
「言ったけど! だって、にいなは一人じゃ何するか分かんないし! だから待っててって言ったの!」
真似されてむかっとしたみいなは、ムキになって言い返します。
「それなのにみいな、全然きてくれないし」
ぷーんとにいなは顔をそっぽに向けました。
「しょうがないでしょ! フルアーマーに追いかけられてたんだから!」
みいなは拳を握ってにいなを睨みます。
「私だって追いかけられてたし。フルアーマーがすぱーん! って花瓶を真っ二つにしたんだよ! それに私、フルアーマーと戦ったし。お盆でけちょんけちょんにしてやったんだから! 『きゃぁぁぁ』って言ってるだけのみいなとは違うもん! ね、平助。私、がんばったよね? 勇者みたいだったよね?」
にいなは平助に詰め寄ります。
もちろん、お盆が割れてしまったことも、運動靴の靴紐を踏んで転んだことも、泣きそうになったことも、みいなには言いません。
急に話を振られた平助は、たじたじしながら答えました。
「そっ、そうですぜぇ。にいなさんは、本当に勇者みたいでしたぜぇ。あっし、にいなさんがいなかったら、フルアーマーにペしゃんこにされてお陀仏でしたぜぇ」
「そうだよ! 私、フルアーマーを千切っては投げ、千切っては投げってしたんだから!」
にいなは大きく体を揺らして、腕をぶんぶんと振り回します。
みいなはにいなを睨みました。
やめなさい。にいな、それでふっくんから落ちそうになったの、もう忘れたの?
みいなは無言で、にいなにそう言い聞かせます。
そのメッセージを正確に読み取ったにいなは、無言で首をすくめました。
「隠し扉? 猫ちゃん? なんのことだ?」
ふっくんが聞いてきます。
にいなはこれ幸いと、にいながいかに勇敢に行動して、どうやって隠し扉を見つけたのか、ふっくんに熱心に説明しました。
「――それでね、扉がバタンって開いてね、中からヒューっていう風の音がしてね、」
両腕を大きく動かしながら、にいなは熱弁を振るいます。
「中で風の音がするなら、どこかに通じている道かもしれないな。でも危険だぞ。にいなとみいなは、おいらたちみたいに飛べるわけじゃないからな。落っこちたら上がって来れないぞ」
みいなは落とし穴に落ちそうになったことを思い出して、ぶるっと身震いしました。
「でもこのまま飛んでても、青い鳥は見つからないかもしれないし。違う姿になってるのかもしれないんでしょ?」
にいなは言いました。
できれば地上に降りたいなあと、みいなは結構な高さのある下を覗き込みました。
それに……
ここまで来たら先に進みたいという気持ちが半分、もう半分はふっくんを心配してのことでした。
ふっくんのスピードがどんどん落ちてきているのです。すばしっこく動くフルアーマーを避けながら飛ぶのは、大変なのでしょう。息もゼェハァしています。
「ねえ、ふっくんはどうやって青い鳥を見つけたの?」
早く見つけられるヒントがあるかもしれない、とみいなは聞きました。




