15. 光の姫 三
「ここはにいなとみいなの世界だぞ。おいらたちがいるこの遺跡は、姫が遺したものなんだ。正確には、姫か、その子孫かは分からないんだけど。姫の子孫は『星の民』と呼ばれているんだ。星の民はいろいろな世界をめぐって、星の卵を遺しているんだぞ」
『星の民』って、あれ? どっかで聞いたような。
みいなは記憶を探ろうとしましたが、急にガクンと体が下がったので、考えるのを止めました。慌ててふっくんの体にしがみつきます。
ビュン
みいなの頭の上ギリギリのところを、フルアーマーがかすめてきました。
フルアーマーは天井からぶら下がっている星の飾りに飛び乗って、ターザンのように右に左に揺れ動いています。片手で星の紐を持って、もう一方の手でみいなたちを掴もうとしているのです。
「大丈夫か、みいな!?」
ふっくんは声を上げます。焦ったようなその声に、そのうちふっくんは落っこちてしまわないかとみいなはヒヤヒヤします。
「大丈夫! ふっくんは? 一度下に降りる?」
みいなは聞きました。
「おいらは大丈夫だぞ! 世界一賢くて強いフクロウだからな! それに、こんなに守りが固いってことは、星の卵がある証拠だと思うんだぞ!」
「星の卵ってなあに? って、わあ!」
にいなのすぐ左側をフルアーマーの手がかすめました。が、紐はフルアーマーの重さに耐えきれなかったのか、ぶつりと切れてしまいました。
フルアーマーは床に落ちました。ガシャン! という大きな音に、思わずにいなは耳を塞ぎます。
下を覗くと、フルアーマーのパーツがバラバラになって、真ん中のテーブルに散らばっています。
ああ、ローストビーフが。もったいない。もうちょっと食べておけばよかった。
にいなは少し後悔しました。でもそれも一瞬のこと。フルアーマーのパーツはどんどん元に戻っていき、完成されたフルアーマーが、何事もなかったようにしゃきんとテーブルの上に立ったのです。
それを見ていたにいなは、ひぃっと息を飲みました。
だって、ぜったいこっちの方見てるし!
「ねえ、フルアーマー、ガシャンってなったのにシュッて元に戻っちゃったよ!」
にいなはみいなの肩を叩きながら大きな声で言います。
この世紀の大発見にみんなびっくりしたとにいなは思ったのに、みいなもふっくんも、「まあそういうもんだよ」とけろっとしています。
ええ! 平助はびっくりしたよね!? とにいなは平助を見ましたが、「あっしはそういうことはよくわからないんですぜぇ」と困った顔をされてしまいました。
にいなはぷくっと頬を膨らませました。
その間にも、みいなとふっくんは話を続けています。星の卵は何なのかについて話しているようです。
青い鳥は星の卵を産む。
星の卵が孵れば、新たな星が生まれる。
やがてその星は光にあふれ、生命が宿る。
星の卵は世界各地に隠されていると言われている。
ふっくんはそれを探す旅に出てる。
のだそうです。
ふーん。
にいなだってきらきら石集めてるし。
にいなのきらきら石があったから、ふっくんだって中に入って来れたのに。
ってことは、にいなのおかげなのに。
「ね、ステンドグラスに私のきらきら石あげちゃったんでしょ? なんでふっくんが持ってるの?」
にいなは『私の』きらきら石だと強調して、話に入っていきました。
「ステンドグラスが割れたときに、青い石が飛び出てきたんだ。だからこれは帰りに使うんだと思って、くちばしでキャッチしたんだぞ!」
「ふっくん、頭いいね!」
ちょっと機嫌が斜めだったことも忘れて、にいなはふっくんを褒めました。
「でも、星の卵を探すのは、にいなとみいなを無事に家まで送り届けてからだぞ! ここは危ない遺跡だからな! よい子はお家に帰って寝るんだぞ!」




