15. 光の姫 二
「二人で旅に出たんだね! ロマンチックだね!」
にいな両手を組んでにっこりと笑います。
「うーん、そうだけど。でもこの神話のどこが、世界のはじまりなの? ここに姫さまが来たってこと?」
みいなは真剣に考えながら疑問を口にしました。
「このあと姫と青年は、いろいろな世界を訪れて、その土地に光を灯したとされているぞ。この世界も、その一つなんだそうだ。各地で同じような伝承《でんしょう》が残っているんだぞ。おいら、世界中を旅して話を集めたんだ」
「ね、みいな、伝承ってなに?」
にいなは聞きました。
「言い伝えのことだよ」
「へえ、おばあちゃんのところにも言い伝えがあるよね。それと一緒?」
「うーん、どうだろう。言い伝えってほとんどが作り話だから」
「作り話じゃないぞ! ここのステンドグラスには、この神話が描かれているんだ。おいら、すぐにぴんときたんだぞ。ここは光の姫が残した遺跡だって!」
ふっくんはぷくっと胸を膨らませます。
二人はじっとステンドグラスを見ました。
「いろんな絵が描いてあるからよく分かんない」
「そうだね。姫、いなくない?」
「そこなんだぞ! 伝承には、こうある。『青い鳥の現れるところ、姫の姿あり』って。つまり、青い鳥がいれば、姫もいるってことだぞ。それで、青い鳥がいれば、扉は開くってことだぞ。おいらはその扉を開けて中に入ってきたんだぞ」
ふっくんが中に入ってきたのは間違いないので、きっとそうなのでしょう。
でも、じゃあ――
「――でもさ、青い鳥も、いなくない?」
みいなは言いました。にいなもこくこくと頷きます。
そうなのです。二人がどれだけ探しても、青い鳥は見つかりません。
とても小さいのでしょうか?
それとも、影に隠れているのでしょうか?
「そこなんだぞ! みいな、よく気づいたな! 青い鳥は姿形を変えることができるんだぞ! それを探すんだ!」
「ええ、形が違かったら無理だよ」
みいなは眉をしかめます。
「ね、青い鳥を見つけたらどうすればいいの?」
にいなはわくわくしながら聞きました。
形が変わった青い鳥を探すなんて、宝探しみたいだなと思ったからです。
「えへん。こっそり隠れている青い鳥を探し出したら、青いものをあげるんだ。そうすれば、青い鳥は元の姿に戻るんだぞ。そして、姫にお願いするんだ。
『闇を打ち破る光をお与えください。
先に進む勇気をお与えください。
私は光と共に進む者。
どんな困難にもくじけないことを誓いましょう。
どうか、私を助けてください』
願いが聞き入れられた時、扉は開き、道は開くんだぞ」
「はいはいはいはい! 私、それやる!」
にいなは腕をぐんと上げて、立候補しました。
呪文を唱えたら扉が開くなんて、まるで魔法使いのようではないですか。
にいなは自分が呪文を唱たら扉が開く姿をイメージして、もっとワクワクしてきました。
みいなもちょっといいなと思いましたが、にいなに先に言われてしまったので、口を閉じました。代わりに、考えたことを口に出します。
「えっと、ふっくんは扉を開けて入ってきたんでしょう? そしたらここは違う世界なのかな?」
帰れなくなったらどうしよう。
みいなは不安になってきました。




