15. 光の姫 一
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むかしむかし、あるところに、とても貧しい村がありました。
太陽はめったに顔を出さず、空はいつも真っ暗です。
夏が来なくなって、どれほどの月日が流れたでしょう。村人は寒さに凍えながら、ほんの少しだけ採れる作物を食べて暮らしていました。
しかし、やがて食べ物は尽きて、村人はどんどん倒れていきました。
このままでは村人全員が倒れてしまう。
そう思った村の青年は、救いの手を求めて旅に出ました。
外の世界は、村よりさらに荒れていました。人っ子一人おらず、動物にも出くわしません。
どこまでも続く銀色の雪景色が広がるばかりです。
青年は猛吹雪に見舞われて道に迷ってしまい、倒れてしまいました。
もうダメだ。
青年がそう思ったとき、空に大きな虹のカーテンがかかりました。空一面を覆い尽くす虹のカーテンは、まるで天国のような光景です。青年は天国からお迎えが来たのかと思って、その近くへ這っていきました。
すると、虹のカーテンから娘が一人、現れました。青い鳥と共に現れた娘はたいそう美しく、青年は娘を光の使いだと思いました。
青年は助けを請います。
「光の姫よ、どうか、我々をお助けください」
青年の願いは聞き届けられ、光の姫は青年と共に村へ帰ります。
光の姫が行く先々には光が灯ります。
連れの青い鳥が羽ばたけば、そこに植物が芽吹きます。
村はどんどん暖かくなり、たくさんの作物が成るようになりました。
周りの森には緑が溢れ、鳥がさえずり、ついに夏がやってくるようになりました。
村人は光の姫に感謝し、やがて光の姫は、きらきら姫と呼ばれるようになりました。
青年は恋に落ちました。
「姫、どうか私と夫婦になってください」
青年は何度もそう伝えますが、光の姫は悲しそうに首を横に振るばかりです。
いくつもの季節が巡ったある日のことです。光の姫が忽然と姿を消してしまいました。
光の姫を探すため、青年はもう一度旅に出ます。
どこを探しても見つからず、やがて青年は光の姫と出会った場所に戻ってきました。
空には光の姫が現れた時と同じ、大きな虹のカーテンがかかっています。
「光のカーテンは消えたはずなのに……」
青年は信じられないものを見たかのように呟きました。
青年は、いつか姫が帰ってしまうのではないかと恐れて、何度もこの地を訪れていたのです。
青年が訪れる時、いつも空は青く、虹のカーテンはどこにも見当たりません。それに安心した青年は、やがてこの地から足が遠のいていきました。
しかしいま、まごうことなき虹のカーテンが、空いっぱいにかかっています。
青年が近づくと、虹のカーテンの下に立つ光の姫を見つけました。
「私はもう行かなければなりません。ここでお別れです」
光の姫は悲しそうに言います。
「光の姫、私はあなた様と離れたくありません。どうか、私も連れて行ってください」
青年は懇願しました。
「いけません。私は二度とこの地に戻ってこないのです。あなたは家族と離れ離れになってしまうのですよ」
「それでもいいです。私はあなた様を一番に愛しています。どうか、私をお連れください」
光の姫は青年の熱意に心を打たれ、ついに首を縦に振りました。
青い鳥が虹のカーテンの前に立つと、扉が開きました。
二人は手をつないで扉をくぐり、共に旅立っていきました。
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