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14. ふっくん、平助、参上! 五

「ふっくん、すごい! 私たちのためにがんばってくれたんだね! ありがとう」

 にいなは声を上げます。みいなも熱心に首を縦に振りました。


「そうなんですぜぇ。ふっくんさんは、すごいお方なんですぜぇ。恥ずかしながら、あっし、お二人のところから逃げちまって、遺跡の外へぽいっと放り出されちまったんです。そこにふっくんさんが来てくれたんですぜぇ」


「平助がいてくれて、おいら、助かったんだぞ。カラスが一羽、ずっとうろうろ飛び回っていたから、怪しいやつだと警戒したんだけど。話してみたらにいなとみいなを助けに行きたいって言うから、一緒に行動することにしたんだ。平助が放り出された穴から入ったら、ここのステンドグラスが見つかったんだ。だから、平助のおかげだぞ!」


「平助も、すごい! 私たちのこと助けにきてくれようとしたんだね。ありがとう」

 みいなは、今度はきちんとありがとうが言えたことにホッとしました。


「ううっ。にいなさん、みいなさん。あっし、情けねぇカラスで、ほんとに申し訳ねぇですぜぇ」

 平助の目からは涙があふれています。

 みんなの注意が逸れたからでしょうか、フルアーマーはここぞとばかりに壁からジャンプして、平助を捕まえようとします。

 平助は危機一髪でフルアーマーから逃げました。


「わあ! フルアーマー、飛べるの!?」

 にいなはフルアーマーを目で追いかけました。ぴょんぴょんと壁から壁へ移動するフルアーマーを見ていると、目がくらくらしそうです。

「飛べるっていうか……クモみたい」

 みいなの頭に思い浮かんだのは、クモ人間です。


「急ぐぞ! って言いたいところなんだけど、おいらたちが割って入ってきたステンドグラスが見つからないんだぞ」

 ふっくんは耳のように見える頭の羽を下げて不安そうです。


 にいなとみいなも割れたステンドグラスを必死に探します。

 にいなも先ほど、パリンとガラスが割れた音を聞きました。だから、どこかのガラスは壊れているはずなのです。


 ふっくんは体育館ほどの大きさの部屋のをぐるっと一周しました。ですが、割れたステンドグラスは見つかりません。ステンドグラスはどこにも隙間なく、ぴったりとはまっているのです。


「割って入ってきたんだったら、もう一回割ればいいんじゃないの?」

 みいなは近くのステンドグラスを叩いてみました。


 ドン


「いっ、痛い!」

 さっきもフルアーマーを蹴って足を痛めたというのに、にいなはそのことをすっかり忘れていました。そういえば、尻もちもついたし、おでこも床にごっつんしたのでした。思い出したら、いろいろなところが痛くなってきた気がします。


「ダメだぞ。こいつは謎が解けた者にしか破れない、特別なステンドグラスなんだ。おいらは世界一賢くて偉大なフクロウだから、謎を解いてステンドグラスを破れたんだぞ」

 ふっくんはえへんと胸を膨らませました。


「じゃあ、もう一回、謎を解いてよ。どんな謎なの?」

 みいなは聞きます。


「えへん。それを説明するには、この世界のはじまりの神話を話すことから始めるぞ」

 ふっくんは息を大きく吸って、神話語りを始めようとします。


 おおー! とにいなはパチパチ拍手をしました。

「ちょっと待って! 今それどころじゃないから!」

 みいなは慌てて止めに入ります。


 だって、フルアーマーはぴょんぴょんと壁を自在に飛んでいるのです。

 上から下へ、下から上へ

 右から左へ、左から右へ

 初めはぎこちない動きだったのに、どんどんスピードが早くなっていっています。


 今でもなんとかぎりぎりのところでフルアーマーのアタックを避けているのです。頼りのふっくんが神話語りなんて始めてしまったら、あっという間に捕まってしまうでしょう。


「でも、みいな。世界のはじまりの神話だぞ。もう知る者は少なくて、おいらだって、世界のいろいろなところで情報を集めてやっと手に入れた話なんだぞ。聞きたくないのか?」


 そんなこと言われてしまえば、みいなだってもちろん気になります。

「でも……」

 みいなはフルアーマーをチラチラ見ながら、困ってしまいました。


「ふっくんのお話、聞こうよ。だって、謎解きの重大なヒントなんだよ!」

 にいなは目をきらきらさせて言います。

 にいなはみいなほど本が好きなわけじゃないけど、物語は大好きなのです。


「そうですぜぇ。この世界のはじまりの神話なんて、わくわくするじゃあないですか」

 平助も興味しんしんなようです。


「……わかった。じゃあ短めでお願いね!」

 みいなは短めだからね! と念を押してゴーサインを出しました。

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