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14. ふっくん、平助、参上! 二

 平助は逆さ吊りにされてしまいます。暴れて抜け出そうとしますが、金属の手はしっかりと平助の足を掴んで離しません。

「やめろ! 離せ! ってあっし、どんどん力が抜けていくですぜぇ……」

 平助はくったりとしたまま動かなくなってしまいました。

「平助! 今、助ける!」

 にいなはテーブルの下を飛び出して、平助を掴んでいるフルアーマーの腕をパンチしました。

「平助を離せ! って、いったぁ!」

 思いっきりぶったのはいいのですが、その瞬間、にいなの拳が悲鳴を上げました。金属を叩いたら、痛いのです。そして世の中に多くある金属の中でも、フルアーマーは特に頑丈な金属でできています。


 涙目になりながら、にいなは今度は足を思いっきり振りかざして、フルアーマーの脚を蹴りました。


 カァーン!


 いい音が鳴り響きました。にいなは蹴った反動で後ろに転んでしまい、尻もちをつきました。フルアーマーを蹴った足をさすって「痛い……」と泣きそうな声でつぶやきます。


 フルアーマーはにいなの渾身の攻撃を静かに見ています。やがてこれ以上の攻撃はないと思ったのか、平助を持った手を高く掲げました。今にも平助を投げつけそうなその様子を、にいなは青ざめながら見つめます。


「だめ! 平助、しっかりして! 寝ちゃダメ!」

「そんなこと言っても、にいなさん……あっし、力が出ないんでやす。一体あっしは、どうしちまったんでしょうかね、もう、煮るなり焼くなり好きにしてくだせぇって気持ちですぜぇ……」

 平助はかろうじて目を開けてにいなに答えましたが、また目をつぶって、くったりとしてしまいました。


 このままじゃいけない!


 にいなは慌てて周りを見渡しました。

 部屋の真ん中では、ふっくんに乗ったみいながフルアーマーに追いかけられています。助けを呼ぶことはできません。つまり、にいな一人でこの危機を乗り越えないといけないということです。


 にいなはデザートテーブルを見ました。


 チョコレートファウンテンをフルアーマーにかけようかと思いましたが、あんなに大きな物を持てるとは思えません。

 でも、早くしないと。

 にいなはデザートテーブルまで駆けていくと、一番近くにあったお盆を掴みました。さっきフルアーマーがスプーンやフォークを持ってきてくれた木製のお盆です。それでフルアーマーの腕をバシバシと叩きました。


「離せ! 平助を離して!」


 ぺこ


 フルアーマーの腕がへこみました。

「へ?」

 思わずにいなは攻撃を止めます。確かににいなの力いっぱいの攻撃でしたが、まさかフルアーマーの腕をへこませられるとは思いませんでした。

 フルアーマーはへこんだ自分の腕を見て、一歩後ろに下がります。


 今がチャンスと思ったにいなは、フルアーマーに近づくと、自分の手が届くところを構わず叩き続けます。フルアーマーは声が出たら「やめてくれぇ!」と言いそうなほど、うろたえています。

「平助を離してよ!」

 にいなはお盆を両手で持って、頭の上に掲げました。うっと詰まったフルアーマーは、仕方なしに平助を離しました。

 平助はそのまま落下して、床に落ちるギリギリに目を覚ましました。羽を広げて上に飛んでいきます。

「にいなさん! 助かりやした!」


 にいなはすっかりフルアーマーを部屋の角に追い詰めています。フルアーマーをじっと睨みながら、じりじりと前に進みます。あと数歩でお盆が届くところまで来て、にいなは駆けました。そのままフルアーマーに突撃しようとして――


 バタン!


 思いっきり転んでしまいました。運動靴の緩んだ靴ひもを、自分で踏んづけてしまったのです。声が出ないまま、にいなは床を転がりました。


 痛い! 膝もおでこも痛い!


『だから運動靴のひもはきちんと結んでおかないと、ダメじゃん』とみいなの呆れた声が頭の中でしました。


 だって! それどころじゃなかったし!


 にいなは頭の中で、想像のみいなに言い返しました。


「にいなさん!」

 平助が慌てて降りてきます。フルアーマーとにいなの間に立って、フルアーマーを威嚇《いかく》します。


「痛い! 痛い! もう怒った! にいな、めちゃくちゃ怒ったんだから!」

 にいなは泣きながら立ち上がると、フルアーマーを睨みました。転んだのは自分のせいではあるのですが、そんなことはどうでもいいのです。


 ぺっちゃんこにしてやる。


 にいなはお盆を拾おうとして、「ああ!」っと声を上げました。なんと、お盆が真っ二つに割れているではないですか。

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