14. ふっくん、平助、参上! 一
パリーン!
天井の上の方で、何かが砕けたような音がします。そして、にいなの近くでバサバサと何かが暴れています。
「お嬢さん! 助けに参りましたぜ!」
聞き覚えのある声に、にいなは目を開けました。すると、そこにいたのは一羽のカラスでした。途中ではぐれてしまったカラスの平助です。
平助はフルアーマーの頭の周りをぐるぐると飛び回っています。フルアーマーはうっとうしそうにカラスを払い除けようとしますが、すばしっこい平助は捕まりません。
「平助! 来てくれたの!」
「へい! もちろんでごぜぇやす、にいなさん! ここはあっしに任せてください!」
平助はフルアーマーの頭を鋭いくちばしで突きます。カンカンと鳴る金属音は、やっぱりフルアーマーの中は空っぽなんだなと思うような明るく響く音です。
「でも、みいながあっちでフルアーマーに追いかけられてて!」
にいなは震える声で言いました。
すると今度は、ほうほうほうとフクロウの鳴く声がします。
「おいらも助けに来たぞ!」
大きな羽を羽ばたかせて天井から舞い降りてきたのは、フクロウのふっくんです。くちばしのあたりがきらりと光りました。どうやらふっくんは、くちばしに何かを咥えているようです。
ふっくんはみいなのいる部屋の真ん中の大きなテーブルの下に潜ると、みいなとフルアーマーの間に降り立ちました。
「みいな! これを持っててくれ!」
ふっくんはみいなに青色のきらきらしたものを投げてよこしました。みいなは慌ててそれを受け取ります。
そしてみいなのコートの袖を掴んでいるフルアーマーの手を、くちばしで攻撃しました。
ガンガン、ガシャン!
フルアーマーが手を離しました。すかさずみいなは後ろに逃げます。ふっくんのくちばし攻撃を警戒したからか、他のフルアーマーは近付いてきません。
「みいな、おいらの背中に乗って、にいなのところまで行くぞ」
ふっくんはふんっ! と鼻息を荒くつくと、ぐうっと体を大きく膨らませました。そして、バサッと羽を羽ばたかせます。フルアーマーはじりじりと後ろに下がっていきました。
みいなは飛び始めたふっくんの体に急いでしがみつきました。ふっくんはテーブルの下を低空飛行して、テーブルを出るとふわっと浮き上がります。そのまま一直線に、にいなのところへ向かいます。
すかさず後ろから、フルアーマー四人が駆け足で追ってきました。この四人は、剣を持っていない代わりに、動きが素早いようです。
「どうしよう、追いつかれちゃうよ」
みいなは後ろを振り返りながら、心配そうに言いました。
「大丈夫だ! おいらに任せろ。おいらたち、天井のステンドクラスを破ってここまでやってきたんだ。これくらい朝飯前だぞ!」
ふっくんは力強く羽を動かすと、ぐんと一飛びしました。
にいなはまだ、花瓶が斬られたテーブルの下にいます。拳を握って、フルアーマーをやっつけている平助を応援しています。
「平助! 今だ! そこ! がんばれ!」
「がってんしょうちだ、にいなさん! カラスのくちばしの威力を、見せつけてやりますぜぇ! これでもくらえ!」
平助はフルアーマーの目をめがけて、くちばしを連続で動かします。
「平助! フルアーマーに目は無いんだってば!」
「なんと!? 目が無いとは面妖な! さてはお前! おばけだな! へっ!? おっおばけ!? ひぃぃ」
「平助! がんばって! おばけじゃないよ! たぶん! 魔法だってみいなが言ってた!」
「がってんしょうちだ、にいなさん! 魔法じゃ怖くはねぇ。女王様も魔法のような力を使うんだ。でもこいつは女王様ほど怖くはねぇ!」
平助は思いっきりフルアーマーの頭に頭突きしようとしました。ですが、金属の頭の上をつるっと滑ってバランスを崩しました。その隙に、フルアーマーは平助の足をまとめて掴みました。




