13. 晩餐会 八
にいなは恐る恐る壁に手をついてみました。すると、手がすっぽりと内側に入っていくではないですか。
にいなは何度か壁を押してみました。壁はにいなの手の押し引きに合わせるように、ペコペコと動きます。どうやら、壁だと思っていたここは、隠し扉のようです。ペットを飼っているお家には、猫や犬が通り抜けられる小さな扉がついているところも多いでしょう。それと同じようなものが、この壁にも付いているのです。
にいなが持っているフラフープと同じくらいの大きさの扉です。閉じてしまえば周りの壁とすっかり馴染んでしまうので、遠くから見ているだけでは絶対に見つからない扉でした。
にいなはそおっと扉を押して、中を覗いてみます。暗くて先は見えないけど、風がヒューヒューとこの中から吹いてきて、にいなの髪の毛を揺らします。もしかしたら、どこかにつながっているのかもしれません。猫ちゃんは、きっとこの中に入っていったのだとにいなは思いました。
それに、もしかしたら、フルアーマーさんはこれを隠すためにここに立っていたのかも!
「みいな! なんかこっち道があるかも! ちょっと狭いけど、行けるかどうか私行ってみる!」
にいなはみいなに向かって叫びました。
「え!? ちょっと、ダメだよ! 一人で行ったら絶対にダメ! 危ないよ。私もそっちに行く!」
みいなは叫び返しました。
フルアーマーはテーブルの周りをぐるぐると回っています。フルアーマーがみいなの前を通り過ぎたタイミングで、みいなはテーブルの下から飛び出そうとしました。
「キャー!」
みいなは大きな声をあげました。
今までピクリとも動かなかった他の四人のフルアーマーが突然動き出して、みいなの方に向かってきたのです。
みいなは急いでテーブルの下に隠れました。テーブルの下には入ってこれないはず。そう思ったのに、四人のフルアーマーはガシャンガシャンと音を立てて、四つん這いになりながらテーブルの下に入ってきます。
「いや! やめて! こっち来ないでよ!」
みいなは後ずさりながら叫びました。
「みいな! 大丈夫!?」
ガシャン!
にいなの頭の上で大きな音がしました。いつの間にかフルアーマーがにいなの近くまで来ていて、丸いテーブルにあった花瓶をすぱっと切ったのです。上下に真っ二つになった花瓶の上部分が、床に叩きつけられました。
にいなは丸いテーブルの下にしゃがみこんで、大きな目を見開いてその様子を見つめるしかありませんでした。
床に散らばった花を見て、フルアーマーの脚を見て、少しづつ、にいなは目線を上げていきました。
フルアーマーは真っ暗で中が見えない目でにいなのことを見下ろすと、剣を大きく振りかざしました。
もうダメ。
にいなは涙目でギュッと目をつぶりました。




