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13. 晩餐会 七

「わわわわ!」

 にいなは思わず叫びました。

「にいな! 大丈夫!?」

 真ん中のテーブルからみいなが叫びます。


「大丈夫! 猫ちゃんの毛玉が当たっただけだから」

 にいなは毛玉を手で掴んで返事をします。


 せっかくにいなが命懸けで猫ちゃんを助けてあげたのに、猫は真ん中のテーブルから飛び出してきて、にいなの手から赤い毛玉を奪いました。そしてまた毛玉とじゃれつき始めました。


「もう! こんな時なのに遊んで! 猫ちゃん、フルアーマーに食べられちゃうよ」

 にいなはぷんと怒って言いました。

 猫はわかっているのかわかっていないのか、「にゃん」と鳴くと、お腹に毛玉を乗せてゴロゴロ喉を鳴らしています。


 なんだろう? 腕がスースーする。


 にいなは自分の腕をさすりました。どこからか風が吹いている気がします。


 にいながきょろきょろと辺りを見渡している間に、猫は毛玉を追ってテーブルの下から出て行ってしまいました。

「ああ! もう。知らないんだからっ」

 にいなは腕を組んで、「もう助けてあげないんだからね!」と猫に向かって言おうとしたのですが――

 猫ちゃんがふっと消えてしまったのです。

「え? 猫ちゃん?」


 猫が消えたのは、先ほど剣を高く掲げたフルアーマーが立っていた部屋の角隅です。ちょうど大きな花瓶が置いてある丸いテーブルの下あたりだと思うのですが、テーブルの足が邪魔をして、よく見えません。

 にいなはデザートテーブルの下から頭を出してそっちを見ようとしましたが、フルアーマーが歩いてきたので慌てて頭を引っ込めました。


 どうやらフルアーマー二人は、真ん中のテーブルを囲うように、部屋の中をぐるぐると時計回りに回っているようです。


 カシャン、カシャン、カシャン


 規則正しいリズムで、フルアーマーは歩き続けます。


 フルアーマーがにいなの前を通り過ぎていきました。もう一人のフルアーマーは、その反対側を歩いています。

 にいなは今だ! と、猫が消えたところへ駆けて行きました。


 花瓶が置いてある丸いテーブルの下を覗き込みます。ですが、猫はいません。テーブルは、にいなが下に潜ったらキツキツになるくらい、小さなテーブルです。


 隠れるところなんて、ないんだけどな。

 猫ちゃんはどこに消えちゃったんだろう?

 首を傾げた;の耳が、何かの音を拾いました。


 ヒューヒューと隙間風のような音がします。

 遠くで何かがパタパタと揺れる音もします。

 すぐ近くで、カタカタと何かが何かに当たるような音もします。


 にいなは音がする壁の方へ、耳を近づけました。


 バタン!


 急に空気が動いたかと思ったら、テーブルの下の壁が内側に吸い込まれていきました。そして、その勢いのまま、今度は壁が突き出してきて、にいなの顔に当たりました。

 思わずにいなは後ろに転びます。

「いたたた……なに!?」

 にいなは目を白黒させます。急いで壁を見ても、今までのことなどなかったかのように、壁はしんと静まり返っています。

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