13. 晩餐会 六
二人は、先ほど入ってきた扉の方に駆け足で近寄りました。
ですが、いくら押しても、引いても、扉はビクリともしません。いつのまにか扉のノブがなくなってしまっているのです。
ガシャン、ガシャン、と音を立てて、フルアーマーの一人が二人に近づいてきます。フルアーマーは剣を振り上げて二人に襲いかかります。
「危ない!」
にいなとみいなは、急いでしゃがみました。
ズサッ!
二人の頭がちょうどあったところに、剣が深々と刺さっています。
フルアーマーはその剣を必死に抜こうとしますが、なかなか抜けないようです。
「いまだ!」
二人はフルアーマーの脇をすり抜けて、またテーブルの下に隠れました。
「どうしよう。扉、あそこしかないよね?」
ここは角部屋なのかもしれません。今、フルアーマーが剣を引き抜こうとしている扉のほかには、出口はないのです。
二人はしゃがみながら、必死に逃げ道を探します。
コロコロ
どこからか、毛玉が転がってきました。
なにごとかと二人がそちらを見ると、猫が赤い毛玉を追いかけて遊んでいます。
毛玉を突くと毛玉は転がります。それを追いかけて飛びついていって、ガシガシと攻撃して、また毛玉が転がっていき……ということを猫ちゃんはしているのです。
「猫ちゃん、そんなところで遊んでたら危ないよ。フルアーマーに切られちゃうよ!」
にいなは小さい声で叫びました。
猫は一瞬二人の方を見ましたが、また毛糸でじゃれついて遊び始めました。
「もう! 猫ちゃんってば!」
にいなはテーブルの下を出て、猫を捕まえようとします。
するとフルアーマーが剣を振り回しながら、にいなを追いかけました。
「わあ!」
にいなは必死になって逃げます。フルアーマーはそんなに速く動けないようです。ゆっくりと歩きながら、にいなに近づいていきます。
にいなはすばしっこいので、素早く猫を捕まえると、テーブルの下に隠れました。猫ちゃんをそっと下ろすと、『よーい、どん!』の体勢をとります。
「ちょっと、にいな! 何してるの? テーブルの下でじっとして!」
みいなは慌ててにいなに声をかけます。
「でも、このままじゃずっとテーブルの下から出れないよ。私もう一回、扉が開かないかどうかやってみる」
えいっ! とテーブルの下を飛び出して、にいなはまた扉の前に立ちました。押したり、引いたりしても、やっぱり扉は開きません。
先ほどフルアーマーが刺した剣がそのまま刺さっています。それを抜いて武器にしようと思いましたが、にいなの力では抜くことはできませんでした。
カシャン、カシャン、カシャン
「にいな! フルアーマーが来たよ! 隠れて」
にいなはみいなのいるテーブルの下にダイブしようとしましたが、もう一人のフルアーマーがテーブルの前に立ったので、そちらに行くことはできません。
ゆっくりとフルアーマーが近づいてきます。
どうしよう、どうしよう。
にいなは部屋の周りを見渡しました。フルアーマーが剣を振りかざします。
にいなはイチかバチか、部屋の端のデザートテーブルまで走っていって、その下に隠れました。
このテーブルは、部屋の真ん中にあるテーブルより大きくありません。フルアーマーが手を伸ばせば、すぐに捕まってしまうくらいの幅のテーブルです。ですが、フルアーマーはこちらのテーブルの中にも入ってこれないようです。
テーブルの下でフルアーマーと睨めっこすること、約数秒。
身を固くしていたにいなでしたが、フルアーマーがこれ以上入ってこれないことを確認すると、ほっと胸をなで下ろしました。ぎゅっと握っていた拳を開いて、手を床につけると、ふわっと何かが当たる感覚がしました。




