表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/137

13. 晩餐会 五

「ねぇ見て。フルアーマーさんが他にもいる」

 今まで食べ物しか見ていていなかったから、気づかなかったのでしょうか? デザートが置いてあるテーブルの反対側の壁には、フルアーマーが何人も並んでいます。


「一、二、三、四……四人いるね。真ん中の空いてるスペースが、さっき案内してくれたフルアーマーさんの席だったのかな?」


 フルアーマーは、二人並んで真ん中に空間があり、そしてまた二人と並んでいます。


 にいなはおーい! と手を振ってみました。ですが、フルアーマーはぴくりとも動きません。


「あっちのフルアーマーは動かないやつなのかもしれないね」

 みいなはスイーツのテーブル側の角に立っているフルアーマーを見ながら言いました。剣を持っているのが気になるなとは思いましたが、目の前にある飴細工の白鳥の方が、よっぽど気になります。


 どうやって作るんだろう。飴ってこんなに細く伸びるのかな?

 ふわっとあくびが出ました。


「ああ、お腹いっぱい!」

 二人は同時に言うと、笑い出しました。

 そして続けます。

「ごちそうさまでした」


 ガシャン!


 スイーツのテーブル側の角に立っていたフルアーマー二人が、突然動き出しました。右手に剣を高く掲げたまま、にいなとみいなのもとにずんずんとやってきます。


 カシャン、カシャン、カシャン


「あ、フルアーマーさん! 美味しかったです。ごちそうさまでした」

 みいなは笑顔でお礼を言いました。


「本当に、すごく美味しかったです。ごちそうさまでした。ね、これ、ちょっと持って帰ってもいい? こんなにいっぱいあっても、残っちゃったらもったいないし」

 にいなはちゃっかりお土産を持って帰ろうとします。


 ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン

 フルアーマーはにいなとみいなの傍に立つと、止まりました。


 片手で剣を持っていたフルアーマーが、両手で剣を握り直しました。そのままさらに上へと剣を上げていきます。


 大きなフルアーマーの影に入った二人は青ざめました。

 どう見ても、お皿を片づけに来てくれたとは思えません。


「えっ! ちょっと! 待って! わっ!」

 二人の叫びも虚しく、フルアーマーは二人が座っていた椅子を目掛けて剣を振り下ろしました。

 にいなとみいなは、間一髪のところで椅子から滑り落ちました。ばさっと椅子が真っ二つに切られています。あんなに大きくて頑丈そうだった椅子がスパッと切れたことに、二人は息を飲みました。


 二人は咄嗟にテーブルの下に隠れました。お腹が苦しいけど、そんなことを言っている場合ではありません。小さくしゃがみ込んで、目を忙しなく左右に動かします。


 カシャン、カシャン、カシャン


 今まさに椅子を真っ二つにしたことなどなかったかのように、フルアーマーはゆっくりと歩いてテーブルの下を覗きこみます。


「ええ、やだ。ちょっと、何!? フルアーマーさんがいきなり怒っちゃった!」

「なんで!? いきなり。私たち、何かした?」

「わかんないよ。あんなにいっぱい食べても怒んなかったのに。それとも途中からずっと怒ってたのかな?」

 にいなは最後に食べたチョコレートケーキを残したことがいけなかったんじゃないかと思いました。いつもママに「自分が食べられる分だけ持ってきなさい。残したら、作った人がかわいそうでしょう」と言われるからです。


「それとも……それとも、何かいけないことを言っちゃったのかな? ううん、なんだろう? こういうところで、キーワードをきっかけに何かが動くことは、ゲームではしょっちゅうあるんだけど……」


 みいなはブツブツと考え込みました。


 にいなはみいなのところまでテーブルの下を全力ハイハイで向かうと、みいなを引っ張りました。

「みいな! そんなことを考えている場合じゃないよ。早く逃げなきゃ!」

 みいなは一度考え事を始めると、その他のことがお留守になるのです。


 にいなはテーブルの下で息を潜めながら、フルアーマーの動きを目で追います。

 どうやら、フルアーマーはテーブルの下には入ってこれないようです。ですが、大きな剣をぶんぶんと振り回している様子は、とても友好的には見えません。


「でも、どっちに行けば……?」

「戻ろう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ