13. 晩餐会 四
「にいな!」
みいなはばっちりそれを見ていました。にいなを叱ります。
「でも、だって、」
にいなは言い訳をしようとしますが、みいなはそれに被せるように言います。
「知らないところでご飯食べたら、ママに怒られるよ。ここでだって――」
「あ!」と声をあげて、二人は急いでフルアーマーの方を見ました。
フルアーマーは動くことなく、剣を上に掲げたままです。
「たぶん、大丈夫だよ。フルアーマーさん怒ってないし、ブドウ美味しいよ。みいなも食べたら?」
「もう! どうなっても知らないんだからね!」
みいなはちょっと怒ったふりをしながら、目の前にあったフライドチキンをガシッと手で掴みました。そして、口を大きく開けて、チキンに思いっきりかぶりつきました。
熱々のチキンの肉汁が口の中に広がります。揚げたての衣はサクサクしていて、濃い味付けが柔らかいお肉とばっちり合います。
「ああ! みいなずるい! 私だって食べたい!」
「じゃあ食べればいいじゃん」
みいなは口の中をいっぱいにしながら言いました。
それから、 二人は夢中になってご飯を食べました。
しょっぱいもの、甘いもの
甘いもの、しょっぱいもの
いつもだったらこんなにいっぱい甘いものを食べたらママに叱られますが、ここにはママはいません。
ハンバーグから、チョコレートケーキ
シチューから、ショートケーキ
ご飯の途中に甘いものを食べるなんて、絶対にいけませんなんて普段口酸っぱく言われている注意も、どこ吹く風です。
だって、ケーキは丸々一個あるのです。好きな大きさに切り分けて、好きなだけ食べられるのです。なんだったら、切り分けないで丸ごと一つ食べることもできます。
いつも食べなさいと言われているお野菜も今日は食べません。
お肉を食べて、シュークリームを食べて、フライドポテトを食べて。それから、チョコレートファウンテンでマシュマロにたっぷりチョコレートをかけて、熱々のマシュマロを口の中に放り込みます。
「熱い! でも美味しい」
「ね、シュークリームにチョコレートかけたら美味しいかも」
「それいいね! ああ、こっちのパンもかけたら美味しいかも」
それからアイスを食べて、ポテトチップスを食べて、お腹がパンパンになった二人は満足そうに息を吐きました。
ゴブレットには、炭酸の飲み物がなみなみとつがれています。どれだけ飲んでも、いつのまにか飲む前と同じところまで戻っているのです。
「お腹が苦しい。もう食べられない」
「本当だね。こんなにいっぱい甘いものを食べれるなんて、クリスマスの時くらいだから」
にいなは息をつくと、ぼうっと天井を見上げました。
今まで食べることに夢中で目に入らなかったけど、天井近くの壁には色とりどりの窓ガラスがあることに気づきました。窓ガラスはこの部屋をぐるっと一周囲むように、はめ込まれています。
外から光が差しているのでしょうか。窓ガラスはキラキラときらめいています。
「みいな、見て。ステンドグラスがあるよ」
このいろいろな色の窓ガラスは、ステンドグラスといいます。
にいなは自分が『ステンドグラス』という言葉を知っていることを自慢するように、みいなに言いました。
前に北の国に住むおばあちゃんの家に里帰りした時に、教会に連れて行ってもらったのです。そこでママに教えてもらいました。
みいなもステンドグラスを見上げます。
「本当だ。あそこ、人の形してるね」
「あそこにはウサギがいるよ」
「あ、こっちはぞうさんじゃないかな」
二人は指をさしながら、ステンドグラスに書かれている動物や人や物の絵を発見していきました。
話して、チョコレートをつまんで、また他の絵を見つけて、ジュースを飲んで。
にいなはもう一つ、あることに気づきました。




