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13. 晩餐会 二

 頭のてっぺんからつま先まで鎧で覆われているその人たちの顔は見えません。

 二人は「わ!」と声を上げて、次々に話し出しました。


「ごめんなさい! 勝手に入って。いい匂いがしたから。えっと……」

「私たち、怪しいものではありません。ちょっと迷子になっちゃって」


 鎧を着た人は、上から二人をじっと見つめるばかりで、何も言わずに黙っています。にいなとみいなは話を続けましたが、鎧の人はうんともすんとも言いません。

 二人は困ってしまいました。怒られるのは嫌だけど、なんにも言われないというのも嫌なものです。だって、鎧の人の顔は見えないけど、ぜったいに二人のことを見つめているんだなと分かるからです。


「えーっと、その、私たち、帰りますね……?」

  さすがにどうしていいか分からなくなったみいなは、にいなの手を握りながら、そうっと鎧の人たちから後退さろうとしました。

 この部屋にもついて来てくれた光の玉は、そんなことはお構いなしに楽しそうに二人の周りを浮いています。


 すると、それまでぴくりともしなかった鎧の人が、にいなとみいなのの両脇にすっと膝まづきました。ガシャン! と金属が鳴る音がします。


 にいなとみいなは、びくっと後ろにジャンプしました。そのまま鎧の人の動きを伺います。何かあったらすぐに逃げられるようにと、みいなは扉の位置を目だけ動かして確認しました。


 すると、またカシャンという音がしました。鎧の人が頭を下げたのです。そして、また動かなくなってしまいました。


「えっと、どういうことだろう?」

 にいなは両脇にいる鎧の人二人を交互に見て、つぶやきました。


「この人たちはフルアーマーって言って、中に人は入ってないんだよ。たぶん、ここを護ってる騎士だと思う」

 みいなはおっかなびっくり、ほんの少しだけフルアーマーに近づいてみます。


「中に人は入ってないの? どうやって動くの?」

「ダンジョンだと魔法で動くから、きっとこれも魔法だよ」


 さて、どうしたものか?

 二人が顔を見合わせていると、またカシャンという金属音がしました。

 フルアーマーは頭を下げたまま、片腕を上げてテーブルの方を指し示したのです。

 にいな側にいるフルアーマーは細長いテーブルの片端を、みいな側にいるフルアーマーは、テーブルの反対側の端の方に腕を向けています。


 またビクッとした二人はしばらく様子を伺いましたが、フルアーマーはその格好のまま、また動かなくなってしまいました。


「……たぶん、あそこの椅子に座っていいってことだと思うんだけど」

 自信なさげにみいなが言います。


 確かにフルアーマーの腕が指す先には、ちょうど椅子が置いてあります。テーブルの端から端は何十メートルも離れていそうですが、椅子があるのはその二か所だけです。

 王様が座りそうな大きな椅子だなあとにいなは思いました。でも、あんなに離れたところに座ったら、話すのが大変そうだとも思いました。


 とりあえず行ってみる? と目で会話をすると、二人は手をつないで一歩一歩、部屋の真ん中にあるテーブルに近づいていきました。チラチラとフルアーマーの方を振り返りますが、フルアーマーはさきほどと同じ格好のまま動きません。


「このまま進んでいいってことだよね?」

 にいなはみいなの手をぎゅっと握りました。

「たぶん……たぶんね。わからないけど、きっと大丈夫」

 二人は手をつなぎながらテーブル真ん中まで来ました。

 でも椅子はここにはありません。椅子があるのは、テーブルの両端です。不安そうな顔をしながらも、二人は手を離すと、それぞれフルアーマーが示した両端の椅子のところまで歩いて行きました。


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