13. 晩餐会 一
二人は鼻をくんくんさせながら、勢いよく扉を全開にしました。
「わあ!」
思わず声がこぼれます。
部屋は小学校の体育館くらい大きく、バスケットボールがでそうなほどの大きさです。天井は高く、上のほうはかまぼこの形のように半円になっています。
この部屋も、ガラスの部屋のように光があふれています。天井には星の形をしたものたくさんが吊り下げられていて、それがきらきらと光っているようです。
二人は目を輝かせながら、部屋の中へ一歩踏み出しました。
壁には、ドレスを着た女の人や、重そうなマントを着た男の人の絵がたくさん飾ってあります。部屋の四隅には美しい大輪の花が生けてあり、近くに寄ればきっと良いお花の匂いがするでしょう。床に敷かれている絨毯もしっかりと厚みのあるもので、美しい模様が描かれています。
ですが、二人の目にはこれはまったく入ってきません。なぜなら――
ぐるぐるぐる
二人のお腹が鳴りました。思わず二人は自分のお腹をさすります。
部屋の真ん中には、縦長の大きなテーブルがあります。白いテーブルクロスがぴしっとかかっていて、背もたれの高い椅子が二脚、縦長のテーブルの端と端に向き合うように置いてあります。
問題は、テーブルに置いてあるものたちです。
鳥の丸焼き
マッシュドポテト
ローストビーフ
フライドチキン
フライドポテト
オムライス
ランドセルくらいの大きさの魚の丸焼き
テーブルの上にはいろいろな料理が並んでいます。
どれもほかほかと湯気を立てて、美味しそうな匂いを部屋にあふれさせています。
「すごい! ご飯がいっぱい!」
思わずにいなはみいなの手を握りしめながら言いました。
「ほんと!」
みいなも手を握り返しながら言います。
二人とも、目はテーブルの上に釘付けです。
「あ! あそこ! ハンバーグあるよ! だから言ったじゃん!」
にいなはテーブルの奥側を指さして自慢げに言います。
「シチューもあるし」
みいなはにいなが指さしたところよりもっと奥を指さして言いました。
ハンバーグ
シチュー
カレー
ミートパイ
ピロシキ
ラーメンもあります
「見て、見て! あっちにお菓子もあるよ!」
部屋の端に沿うように置かれたテーブルには、甘いものがたくさん並んでいます。
二人はそのテーブルへ駆け寄りました。
ショートケーキ
チョコレートケーキ
マフィン
シュークリーム
アイスクリーム
色とりどりのフルーツがたっぷり乗ったタルト
きらきら光るゼリー
そしてなんと、テーブルの真ん中には、チョコレートがコポコポと音を立てながら、噴水のように上から下へ流れているではないですか。
「あれ見て! よく食べ放題にあるやつ……なんだっけ? チーズフォンデュじゃなくて……えっと、あの、あれ!」
チョコレートの甘い匂いに気持ちが昂ったにいなは、ぴょんぴょんと跳ねながら、この素晴らしいものの名前を思い出そうとします。
でもだめです。甘い匂いに頭がいっぱいになって、ぜんぜん考えられません。
「うーん、なんだっけな。ああ! チョコレートファウンテンだよ!」
みいなが満面の笑みで言いました。
チョコレートファウンテンの周りには、串に刺さったマシュマロや、バナナや、イチゴや、ベビーカステラや、キャンディーがたくさん並んでいます。
とろとろと流れ出すクリーミーなチョコレート。
天井からのきらきらした光に照らされて、チョコレートはつやつやと輝いています。きっとミルクチョコレートでしょう。優しい茶色をしています。
チョコレートが上から流れて下の泉に落ちるのを見ていると、「下に落ちる前に掬わないと」という気持ちにさせられます。
それに、串に刺さった一口サイズの甘いものが、『ね。取って。食べて』と言っているようです。
食べ放題でも子供たちにダントツ人気のチョコレートファウンテンです。いつもはママに「ちょっとだけにしておきなさい。あとでお腹痛くなるわよ。それより先に野菜食べて、ご飯食べて、デザートはそのあと」と言われるのです。
「大きくなったら家にチョコレートファウンテンを作ろう」と二人はよく話をしています。そのチョコレートファウンテンが今、目の前に。
しかもママもパパもいません。
二人は同時にごくりとつばを飲み込みました。
ちらりと目で会話したのは一瞬のこと。我慢できずに串に刺さったものを手に取ろうとしました。
にいなはベビーカステラを、みいなはイチゴを。
すると、二人の前にいきなり大きな影ができました。びっくりして二人が上を見上げると、二人のすぐそばに、鉄の鎧を着た大きな人物が二人、にいなとみいなを両脇から挟むように立っています。




