10. トイレとお宝の部屋 一
それから、二人と猫は、いろいろな道を通り抜けて行きました。
横から槍が飛んでくる道をほふく前進したり、ステップ通りに歩かないとトゲトゲが出てくる道を進んだり。
危ないところもありましたが、なんとか無事にくぐり抜けて、猫ちゃんについて行きます。
その二人の前をずっと一定のペースでてくてくと歩いていた猫が、歩みを止めました。そして二人の方をくるっと振り返って、「にゃん」と鳴きました。
二人は今までの経験から、もう知っています。これは猫ちゃんの「この先、気をつけてね」という合図なのです。
二人は不安そうに顔を見合わせました。
目の前の道は、見た目は今までと同じで特に変わったところがない、ごくごく普通の道のように思えます。
二人はあたりを見渡しました。
幅は学校の廊下よりも少し広いくらいで、相変わらず石がびっしりと埋まった、冷たい道です。
天井はうんと高いらしく、光の玉が届かないずっと上のところは、よく見えません。ですが、チラチラッと、時々とんがったものが見える気がするのは、にいなの気のせいでしょうか。
あれ、今、何か光ったような気がする。
にいなが口を開けて天井を見上げていると、「ああ!」とみいなが声を上げました。その声があまりにもびっくりした感じだったので、「どうしたの?」とにいなは勢いよくみいなを見ました。
「見て!」
みいなは指をさしました。
にいなはみいなの指先の方を見ました。にいなも、えっ! と驚きました。
なんと猫ちゃんが、壁をゆうゆうと渡り歩いているではないですか。
猫は、普通の道を歩くように、壁を歩いているのです。体は真横になっていますが、下にずれ落ちることもなく、足を踏ん張っている様子もありません。おしりをプリプリとさせながら、猫ちゃんはてくてくと壁を歩いて行きます。
「猫ちゃん、すごいね。あれ、私たちにもできるのかな?」
にいなはワクワクしながら、みいなに聞きました。
「それどころじゃないよ! 猫ちゃんがわざわざ壁を通ってるってことは、このまままっすぐ道を歩いて行ったら、危ないっていうことだよ。また落とし穴かな?」
不安そうにみいなは言います。
猫ちゃんは軽やかに壁を進んで行き、少し先にしゅたっと着地しました。
猫が壁を歩いた距離は、教室の端から端と同じくらいです。
二人はたじろぎました。
「どうしよう。さすがにあんなに遠くまではジャンプできないよ」
みいなは悲しそうに言います。
「道の端を歩いてみる?」
にいなはそう提案してみました。
「でも……でもそれで、一気に地面が崩れ落ちちゃったら……。私たち、絶対に助からないよ」
ポツリとみいなは呟きました。
二人はその場に立ち尽くして困ってしまいました。
そしてにいなが困ったことがもう一つ。あるじゅうようなことを思い出したのです。
それは――
そうだ、私、トイレに行きたかったんだ。
危ないことや、ハラハラすることが続けて起こったので、にいなはすっかりトイレに行きたいということを忘れていました。
でも一度思い出すと、トイレに行きたくて、行きたくて、たまらなくなりました。相変わらず冷たい石だたみの道が、じわじわとにいなの足の熱を奪っていきます。そうなると、トイレのことで頭がいっぱいになりました。




