8. ガラスの部屋 二
部屋の中心には、家のダイニングテーブルほどの大きさの丸いテーブルが置いてあります。つるつるでピカピカした白い石でできているテーブルです。
白猫はその上でゴロンとへそ天をしています。ゴロゴロゴロゴロと喉を鳴らす音が聞こえます。テーブルのちょうど猫の頭が当たっている部分に、何か模様のような、文字のようなものが見えました。
二人は宙に浮くガラスを避けながら、テーブルに近寄ってみました。テーブルの表面には、金色で文字が刻まれていました。
『光の子らよ 星の民よ
光を集めるその器
一つ選んで 先へ進め』
にいなはそれを声に出して読みました。
「『一つ選んで先へ進め』だって。じゃあ、ガラスを一つもらっていいっていうことなのかな? ね、どれにしようか?」
わくわくしながらにいなは聞きます。
「どれでもいいよ。みんな透明でつまんない」
みいなは言いました。
天井の大きな光を受けて虹色に輝いているガラスたちですが、ガラスそのものに色のついたものは一つもありません。すべて透明なガラスです。
ゆらゆらと部屋の中をゆったりと移動するガラスたちは、時々テーブルや壁に当たっては、『リン』という音を響かせます。
二人はその音色に耳を澄ませました。
――リン
――リン
――リン
ガラスの軽やかな音は、鈴の音のように部屋の中をこだまします。まるで、部屋全体が一つの楽器になっているみたいです。
「『光を集めるその器』ってどういうことなのかな? あれ? でもよく見て。ガラスはみんな器の形をしているね。きれいだね」
にいなはガラスをいくつか指差しました。
初めはガラスのオブジェかと思っていましたが、よく見るとすべて器の形をしています。
いつも二人が麦茶を飲む細長いグラス
ママとお菓子を作る時に使うガラスのボウル
花瓶のようなひょうたんの形をしている物
金魚鉢のようにぽてっとした物
形はさまざまですが、どれも物を入れられる形になっています。
「そうかな? 色がついたガラスの方がかわいいよ」
みいなはちょっと怒ったように言います。
透明できらきらと光っているガラスを見ていると、みいなは自分を見ているようで嫌な気分になります。
「なんで? 私、透明なガラス好き。ねえ見て。プクッとしたものも、シュッとしたものもあるんだよ」
そう言ってにいなは、浅型のボウルを触りました。縁の部分がぷくっと膨らんでいて、指でなぞると気持ちがいいです。
にいなは真剣な顔をして、どれにしようかと、うんうんと悩んでいます。
「はぁ」とみいなはため息をつきました。こうなったら、にいなはてこでも動かないということを、みいなは知っています。
一番手っ取り早いのは、にいなが飽きるのを待つことです。
みいなは仕方ないので待つことにしました。透明なガラスはもう見飽きたので、テーブルの上でごろごろしている猫を撫でることにしました。
光を集めるってどういうことだろう?




