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7. 光を灯す 三

「わぁ!」

 にいなは手を叩いて喜びました。


「ふんっ!」

 みいなはイライラした気持ちを吐き出して、少しすっきりしました。


 お互いの顔を見ることができて、二人はホッとしました。


 明かりが灯った先に見えてきたのは、どこまでも長く続く一本道でした。

 道は、大人が二人並んで歩いたら肩がつきそうなほど狭く、天井はパパだったら手が届きそうなくらい近くにあります。

 床にも、両側の壁にも、天井にも、灰色の細長い石がびっしりと、はめ込まれています。


 まっすぐな道は、二人がどれだけ目を凝らして見ても、先が見えないほどずっと続いています。


 みいながはっと息を鋭く吸います。


「……え、うそ。これってもしかして」

 みいなが口元に手を当てて呟きました。


「なに? どうしたの?」

 にいなは分からずに首をかしげました。


「わぁ、ダンジョンだ! ダンジョンだよ、ここ!」

 みいなは目を見開いて、信じられないといった声を出します。


「ダンジョン?」

 なんのことだかわからなかったにいなは、壁の石をそっと触ってみました。

 ツルツルしていて、冷たい石です。


「にいな! だめだよ、さわっちゃ。 ここ、ダンジョンなんだよ。横から剣か矢が飛んでくるかもしれない」

 みいなが大きい声で止めたので、にいなはパッと石から手を外しました。


「床が抜けて落とし穴に落ちるかもしれないし。天井が下がってペシャンコになるかもしれないし。気をつけないと。ここはダンジョンなんだから」

 さっきまでのいやいやな態度がうそのように、みいなは目を輝かせて早口に言います。


「やめてよ。そんな怖いこと言うの」

 怖いことを言われて、にいなは少し泣きそうになります。


「ああ、どこかに隠しアイテムがあるのかな? きっとモンスターが守ってるんだ」

 みいなは興奮したように言います。

 みいなは外で遊ばないで、家でずっとゲームをしています。


 にいなは外でみいなと一緒に遊びたいのですが、みいなは学校が終わるとすぐに家に帰りたがります。


「公園に寄って行こうよ」とにいなが言っても、「嫌だよ。あそこの公園はクラスの子のたまり場だから、どうせまた、からかってくるし。早く家に帰ろう」と家まで引っ張られてしまうのです。


「にいな、いい? ここはダンジョンなんだから、慎重に進むよ。私の言うことをよく聞いて。道の真ん中を通るのは危ないから、端を通っていこう。なんかちょっとでも変な音がしたら、すぐに止まるんだよ。ああ、そうだ! もしかしたら石のどれかに隠し部屋につながるスイッチがあるかもしれないから、石の違いもよく見て。変に大きかったり、色が違ったりしたら、要チェックだからね! それから、もしかしたら天井からなにか落っこちてくるかもしれないから、それにも注意して。それから――」

 みいなはにいなの両肩を掴んで、真剣な顔で言います。


 みいなの目は、いつも以上にきらきらと輝いています。みいなは普段は無気力むきりょく無関心むかんしんなふりを装っているけど、一旦好きなことを見つけると、どんどんハマっていくタイプなのだとパパが言っていました。


「そんなにいっぺんに言われてもわかんないよ」

 にいなは怖くなって、みいなのコートの袖を握りました。


「大丈夫。行くよ。私に続いて」

 みいなは珍しく自信満々に言うと、先陣を切って歩き出しました。


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