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7. 光を灯す 一

 扉からのぞく内側は、真っ暗です。扉が開いて光が入ったことで、かろうじて見えるようになった手前は、狭い廊下のような作りをしているようです。


 にいなとみいなは顔を見合わせました。

「開いたね」

「そうだね」


 もう少し中が見えないかと背伸びをしてみても、なにも見えません。しゃがんでみても、ジャンプしてみても、同じです。そこにあるのは、真っ暗な空間だけです。


「……入る?」

「ええ、嫌だけど。入らないといけないんだよね?」


 せっかく苦労して開けた扉です。このままUターンはできないと二人は思いました。


「うん……開いちゃったからね」


 にいなは、扉が開いたらすぐ中に宝物があると思っていたので、少しがっかりしました。でも、中に入る気は満々です。だって、もしかしたらこの奥に、きらきらしたものがたくさんあるのかもしれないのです。


 怖いけど、入りたい。

 にいなは目をきらきらさせて、じっと目を凝らして扉の中を見ます。


「あーもう! しょうがないな! 入って、少しでも変な感じがしたら、すぐに出るからね!」


 みいなはそんなにいなを見て、自分がしっかりしないと、と気を引き締めました。


 二人はきつく手を結ぶと、扉をくぐり抜けて中に入っていきました。


 ひんやりとした風が足元を通り抜けます。こもった空気は、体育館の倉庫を思い起こさせるものでした。しばらく誰も出入りしていないのだろうなと思わせる、粉っぽいような、カビ臭いような臭いがします。


 二人が入ると、ギギギギと軋む音を立てながら、石の扉が閉じていきます。「あ!」と手を伸ばしましたが、二人にはそれを止める暇もありませんでした。重たい扉は、もう二人がすり抜けられるほどの隙間は残っていません。


 扉が完全に閉じる瞬間に、二人の顔の近くで、シュッと風を切る音が聞こえました。

 それからバタバタバタと羽の音がします。


「おおお、お嬢さん方、大丈夫ですかいっ!? あああ、あっしがついているから、安心してくだせぇ! わわ。本当に中に入っちまった。どうしよう、どうしよう。お嬢さん方! 近くにいますかぁっ!? あっしも来ましたよぉ! カラスの、平助が! やって来ましたよぉ!」

 平助のパニックになった叫び声がします。


「いるよ! そんなにバタバタしないでよ! 顔に当たる!」

 みいなは顔の前を手で払いながら返事をしました。


「真っ暗だよ。どうしよう?」

 にいなの心細い声が、暗い空間に響きました。


 目を開けているのか、閉じているのかもわからないくらい、中は真っ暗でした。こんなに暗い場所は、今まで経験したことはありません。夜に部屋の電気を消しても、カーテンの隙間から、外の光がうっすらと入ってきます。でもここには、光が何もないのです。

 もう、どちらが扉があった方向かさえもわかりません。


 二人の体は震えます。怖いからなのか、寒いからなのか、それすらもわかりません。


 その時です。


『光の子らよ。星の民よ。

 光が灯る歌を歌ってごらん』


 歌うような優しい声が、二人の頭の上から聞こえてきました。


「わぁ! びっくりした! ひっ、光が灯る歌なんて知らないよ!」

 にいなは大きな声で言いました。にいなの声が暗闇に響きます。

 ですが、返事は返ってきません。


「知らないってば!」

 もう一度声を上げましたが、何も起こりません。


 困ったにいなの頭にとっさに思い浮かんだのは、通っている小学校の校歌でした。


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