5. カラスの女王様 五
「そうかい。従姉妹かい。これが噂に聞く、星の民の者かねぇ。お嬢ちゃんたち、ここまで来るのは大変だっただろう。ここは人間の国からは少し離れたところにあるからねぇ。どれ、私の羽で温めてあげようか?」
そう言って、女王様は大きな羽を広げました。
途端に目の前が真っ暗になります。
にいなは怖くなって叫びました。
「そんなことより、私たちをここから帰してよ!」
「なんだい。私の羽が気に入らないっていうのかい」
女王様の声が一段と低くなりました。
にいなとみいなはピクッと肩を震わせました。
「まあいいさ。ここから帰してやってもいいよ。ただし、ここの下にある極上の光るものを持ってきたら、ね」
「ここの下にある極上の光るもの?」
にいなとみいなは、顔を見合わせました。
「アタシのこのふかふかベットの下が、うっすらと光っているのはわかるかい? これはね、この下に埋まっている極上の光るものから溢れ出ている光なんだ。アタシはどうしても、この光るものが欲しくてねぇ。もう何年もずっと、この光るものを手に入れる手段を考えているんだけど、なかなかうまくいかないんだよ。でも、あんたたちなら、手に入れることができるんじゃないかとアタシは思うんだ。なにせ、星の民だからねぇ。まぁ、途中でだめになっても、アタシの腹はちっとも痛まないからねぇ。ということであんたたち、ちょっと行って、取ってきな。いいかい? 取ってこれるまで、帰ってくるんじゃないよ? わかったね」
そこで初めて、二人は女王様のベッドがほんのりと光っていることに気がつきました。ぜいたくに敷き詰められたふわふわの羽の隙間から、柔らかい光が上がってきているのです。
その光が女王様が身につけている宝石たちを照らしています。だから女王様は一段と怖く見えるのです。ステージ効果というものです。お芝居でも、光が当たっている人は、そうでない人に比べて迫力があるでしょう? 光には、そのような効果があるのです。
「でも……でも、女王様でも取れないんだったら、私たちにだって無理だよ」
みいなは困ってしまいました。
「無理かどうかはアタシが決めることだよ。つべこべ言わないでさっさとお行き」
女王様はシッシと二人を羽で払います。
女王様は軽く羽で払っただけなのに、強い風が二人の顔に当たりました。二人はよろけてしまいました。
このまま逃げてしまおう、とみいなはにいなの腕を引きました。なのに、にいなは動こうとしません。
「私のきらきら石、返して!」
にいなが叫びます。
「ちょっと! にいな!」
みいなは慌ててにいなを止めました。
「分かったよ、まったく。きゃんきゃんうるさいねぇ。極上の光るものを取ってきたら、あんたの石は返してやるさ。おい、平助。この子たちを入り口まで案内してやんな。いいかい? この子たちがちゃんとに光るものを手に入れるまで、しっかり見張って……じゃなくて、見守ってやるんだよ。わかったね」
平助と呼ばれた普通サイズのカラスが前に出てきて、頭を下げました。
「がってん承知でございやす、女王様。あっしにお任せくだせぇ。嬢ちゃんたち、こっちだ。ついてきな」
平助はちらりと二人を見ると、返事を待たずに飛び立ちました。




