表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/137

5. カラスの女王様 四

「何を言ってるんだい。これはアタシのもんさ。手下が働き分として持ってきたやつだよ。あいつは最近生ぬるいことばっかりしているからねぇ。ちょいとこらしめてやったんだよ。そしたら二日続けて、まあまあなものを持ってくるじゃないか。そうかい、コレはお嬢ちゃんのものだったんだねぇ? じゃあ、まだまだあんたの家には、良いものがあるかもしれないねぇ? これから何度か、お邪魔させてもらうかもしれないねぇ? カカカ」


「うちに来ちゃだめっ! うちのきらきらしたものも、ぜったいにあげないんだから! やめてよ!」


「おだまり! 子犬がきゃんきゃんとうるさいんだよ。カラスは犬が嫌いなんだ。あいつらはいつもアタシらのことを追いかけて、うっとうしいったら、ありゃしない。このまま食っちまいな、あんたたち」


 それまでおとなしくしていたカラスたちが、一斉に二人に襲いかかってきました。


 その拍子に、かぶっていたにいなのコートのフードが取れてしまいました。


「やめてよ! こっちに来るな!」

 にいなが振りかざした手が、カラスの頭に当たりました。そのまま吹っ飛んでいったカラスは、女王様の顔にヒットしました。


「あんたたち! なにをやってるんだい! しっかり狙いな! ……て、おや、おや、おや。ちょっとお待ち。やめなって言ってるんだよ」

 カラスの女王様が怒りにまかせて叫んだかと思うと、急に猫撫で声を出しました。


 カラスたちはすぐに攻撃をやめて、後ろに飛び退きました。


 カラスの女王様は、一歩一歩、ゆっくりとにいなたちの方に近づいてきます。


「おや、おや、おや。これはまあ、なんてことだろうねぇ。こんな偶然、いや奇跡か? もしかして、もしかすると、これは。大当たりもしれないねぇ」


 カラスの女王様は、てっぷりと太ったおなかを揺らしながら、にいなとみいなの目の前まで近づいてきました。


 二人が後ずさろうとしても、後ろに大勢いる小さなカラスたちがそれを許しません。

 にいなとみいなは手を取り合って震えました。


 カラスの女王様は、二人の前にゆっくりと顔を下ろしてきます。

 このまま踏みつけられたら、ペシャンコになりそうなほど、女王様は大きいのです。


 にいなは思わず目を閉じました。


「そのブサイクな顔をよく見せてみな」

「ブサイクじゃないもんっ!」


 いつも男子たちにからかわれているにいなは、とっさに女王様を睨んで叫びました。


「おだまり! 子犬が! ふふふ、これは、これは。もしかするかもねぇ」


 にいなの目には涙があふれてきます。にいなはまた目を閉じました。


「目玉を突つかれたくなかったら、その目を今すぐ開けな」


 女王様のドスのきいた声に、にいなは慌てて目を開けると、女王様を見ました。

 真っ黒な大きな目が、にいなを見返します。その黒は、まるで夜の闇をとかしたような色でした。


 体の芯から震えが沸き起こってきます。


 怖い。この目は怖い。

 このまま吸い込まれたら、一生出てこれない気がします。


 女王様がゆっくりとくちばしを開けました。

 このままがぶりと頭から食べられてしまうのでは、とにいなは思いました。

 ですが、女王様は猫撫で声を出して、にいなたちに話しかけました。


「あんたたち、瞳にきらきら星があるね。もしかして姉妹かい?」

 にいなは首を横に振りました。

「従姉妹です」

 震える声でみいなが言いました。


 みいなは、にいなを自分の腕で後ろに押して、女王様とにいなの間に距離を開けようとしています。その分、みいなが女王様に近くなります。

 みいなが、にいなをかばってくれているのです。


 みいなは、いざというときは、いつもにいなを守ってくれます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ