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5. カラスの女王様 二

 みいながひぃっと言って、にいなの体をさらにきつく抱きしめてきました。


「痛い! ちょっと、そんなにきつくしないでよ」

「だって、だって、だって! あれ! あれ見てよ!」


 みいなの声が震えています。にいなはゆっくり、ゆっくりと、後ろを振り向きました。後ろに恐ろしいものがある気がして、できることなら見たくなかったのです。


 そこにいたのは、一羽のカラスでした。

 町でよく見かけるような、小さなカラスではありません。そのカラスは、大型犬と同じくらい、いいえ、もしかしたら、動物園で見たことがあるライオンと同じくらいの大きさかもしれません。


 にいなも思わず、「ひぃっ」と息をのみました。


 そのカラスの真っ黒の毛並みは、暗闇の中でもはっきりとわかるくらい、輝いています。特に輝いているところは、虹色に見えます。

 尖ったくちばしは、にんまりと笑っているように見えます。

 目は、好物を見つけたライオンのように、ギラギラと光っています。


 そして、一番おかしいと思ったのは、そのカラスの体が、ピカピカと光っていたことでした。


 よく見ると、そのピカピカの正体は、いろいろな色の石が光り輝いていたことでした。


 カラスの首には、いくつものネックレスがかかっています。

 その一つは、真珠のネックレスでした。ママがご近所の人のお葬式に行く時につけていたので、にいなは知っています。


 透明のきらきらしたネックレスは、水晶かダイヤモンドでしょう。にいなには違いはわかりませんが、おばあちゃんが持っていたのを見せてもらったことがあります。


 あとは、黒色のもの、緑色のもの、赤色のもの。


 カラスの頭の上にも、羽にも、足元にも、いろいろな石が輝いています。


 にいなはすぐに目を逸らしました。怖いので、カラスの足元を見ます。

 もし掴まったら骨が折れてしまいそうなほど強そうな足にも、宝石がたくさんはめられています。


 怖くて声も出ない二人を楽しそうに見つめながら、カラスは続けます。


「ちょうどいい所に来てくれたねぇ、お嬢ちゃんたち。アタシたちは今から、真夜中の宴会をするんだよ。でも、困ったことに冬は食べるものが少なくてねぇ。木も枯れちまうし、動物たちも巣にこもりきりで、外になんか出てきやしない。ちょうどメインディッシュが欲しいと思ってたところなんだ。お嬢ちゃんたち、ぷっくらとしてて、おいしそうだねぇ。せっかくの天からのおめぐみだ。美味しくいただこうじゃないか。今夜はいい夜だねぇ」


「逃げなきゃ!」

 にいなは逃げ道を探して、勢いよく左右を見ました。

 すると、一斉に、カーカーカー! という声が辺りに響いてきました。

 二人の周りで、羽がバタバタと揺れる音が何重にも響きます。


 二人を囲むビー玉のようなものの正体は、カラスの目でした。にいなとみいなは、大勢のカラスたちに囲まれているのです。


 カカカと威嚇いかくしながら、カラスはにいなたちに迫ってきます。


「みいな、立ち上がって! 私たち、囲まれてるよ。早く逃げなきゃ!」

 にいなは素早く立ち上がりました。


「だ、だめ! 私、足、足が! 足に力が入らないの! 立てないよ」

「そんな!」

 にいなはみいなを引っ張り上げようと、腕をぐいっと引きました。ですが、みいなの体は、地面に縫い付けられたように、びくともしません。


「おやおや、あんたたち。そんなに興奮するんじゃないよ。お嬢ちゃんたちが怖がっているじゃないか。どうせだったら美味しい食事にしたいだろう? だったら落ち着きな」

 宝石を山ほど着けたカラスが優しい声でそう言うと、カラスたちはぴたりと動くのをやめました。

 優しい声のはずなのに、にいなの腕には鳥肌が立ちます。首の後ろがゾワゾワとして、にいなはふるっと体を震わせました。

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