3. フクロウと冒険 三
「ええ、今もすごく寒いと思うんだけど、」
にいなはほっぺたをふくらませながら言いました。
そういうことじゃなくて、とみいなが言おうとしたとき、「ほうほうほう」と鳥が鳴きました。
「そのお嬢ちゃんの言うとおり、おいらはフクロウだぞ!」
フクロウはふさふさの胸の毛をぷくっとさせながら言いました。
「やっぱり! フクロウさん、こんばんは」
にいなは目を輝かせて挨拶をしました。
そして、フクロウに近づいていこうとします。
みいなはにいなのコートの後ろをぎゅっと握りしめました。
「鳥がしゃべった!」
「しゃべるよ。あれ? カラスもしゃべったって言ってなかったっけ?」
にいなは首をかしげました。
「そんなの聞いてない! だめじゃん! 危ないよ! 近づいたらだめ! 食べられちゃうよ!」
みいなは叫びます。
「おいらは危なくないぞ。おいらは、世界中を旅しているフクロウなんだ。世界中を旅して、いろいろなものを見て、おいらは、フクロウの中でも一番物知りなフクロウになるんだぞ」
「わあ。フクロウさんは旅人なんだね」
にいなはみいなの手をどけると、フクロウに近づいていきました。
大きさは近所のわんちゃんと同じくらいです。
羽の一つ一つは、つやつやで大きいです。頭の上の羽は小さめで、ふわふわしています。
金色の目が瞬きをしないまま、じっとにいなを見つめています。人懐っこそうな顔は、ゴールデンレトリバーのようです。
「フクロウさんも目が金色なんだね。私たちの髪の毛とお揃いだね」
にいなは嬉しそうに手を合わせました。
みいなはにいなの後ろから、フクロウをのぞきこみます。
「金色かな? こっちの目、なんか変じゃない?」
フクロウは片方の目は金色ですが、もう片方は暗い色をしています。
「変じゃないぞ。おいらはオッドアイなんだ」
「オッドアイってなあに?」
二人は首をかしげました。
「両目の色が違うことだぞ。おいらの父ちゃんと、母ちゃんの目の色だ。父ちゃんは金色で、母ちゃんは緑なんだ」
「えーすごい! 私たちの目も、緑色だよ。お揃いだね」
にいなは目をかがやかせました。
みいなは鼻にギュッとしわを寄せました。
「そんなのおかしいよ。普通は――」
『普通は両目が同じ色』と言おうとして、みいなは口を閉じました。
いつも、『普通じゃない』と人に言われてくやしい思いをしているのは、みいななのです。
『髪の毛が黒色じゃないから、普通じゃない』
『目の色が茶色じゃないから、普通じゃない』
そんなこと言われたって、好きでこの見た目に生まれてきたわけじゃないし。
みいなはママのことが大好きです。にいなママのことも大好きです。
北国に住むおじいちゃんも、おばあちゃんも、おじさんおばさんも、いとこも、みんな大好きです。
ママの子供であること。
パパの子供であること。
どっちも、みいなにとって大切なことなのに。
自分の半分をダメだって言われることは、悲しい。
でも。でも、だって。
目の色が両方違うのは、やっぱりおかしいし!
みいなはフクロウから目をそらして、ふん! と横を向きました。




